
あるふ
@alf0820
2025年6月11日

博士の愛した数式
小川洋子
読み終わった
三人で過ごす時間は、それぞれがお互いを思いやり、温もりで溢れた尊いものであることがあることがよく伝わってきた。そんな時間がいつまでも続いてほしかったが、理想通りにはいかず小さな綻びが生じている様をタイガースの戦況と照らし合わすように表現されていて受け入れざるを得なかった。
博士の変化や、未亡人との関係性など明言はせず読み手の想像力を掻き立てる表現が多々用いられていて彼らの過ごす様子を間近で見守るような気持ちで読み進めた。
私も博士のおかげで数学の美しさを少し理解出来た気がするが、実際に博士から説明を受けた二人はよりダイレクトに美しさを目の当たりに出来たのだろうなと思うと羨ましい。
強い言葉や明確な言葉を用いずに遠回し遠回しに繊細に丁寧に本1冊を丸々使って表現されている三人の生活を、私が簡単な言葉で言い換えてしまったら全てが台無しになる気がして感想を上手く書くことが出来ない。でも間違いなく出会えて良かった1冊だった。
