
冷やしトマト
@tomato_hiehie
2025年6月13日

一千一秒物語
稲垣足穂
読んでる
表題作を読む。ショートショートの形式になっていて, 詩的な表現が多い。リアリズムというよりは漫画的に思える文体も感じる独特な世界観。
1923年執筆。スプートニクの打ち上げよりも前で, 人と宇宙の距離はまだ遠い。月は上から見守るものであり, 星は煙となって掌から消えていく。ガス燈や拳銃の描写が大正モダニズムの気配も感じさせる。幻想的な雰囲気を感じさせる一方で, 月が人を監視する姿勢もあったり, 誰かに後ろからど突かれたりする展開が多かったり, やや不穏な印象も受けた。
