
読書記録
@records
2025年6月14日

ヒカリ文集
松浦理英子
読んでる
まだ読んでる
「小滝朝奈」の章を読んだ。
経験人数が多く奔放に見えるタイプの朝奈がヒカリに恋をするまでは性欲を自覚していなかったことや、
中学以降同性とまともに接しておらず、誰とも同じような当たり障りのない話しかしていなかったことを、「影と影が喋っているようなものだった」p.157と書いているのが印象深い。
作中作として、劇団NTRの「壁越しの恋人」という作品が出てくる。
壁で囲まれた歓楽の街と、壁の外の堅実な街があって、壁の穴の補修の際に裂け目越しに出会った男女が恋に落ちるというストーリー。
元々、歓楽の街は伝染病のウイルスキャリアを隔離するためにつくられた地区で、街の外に出るのを禁じるかわりに娯楽を発展させたとか、そうした政策への批判があるとか、それぞれの街にはもう一方の街に憧れる人々がいるとかいう設定付き。
壁で隔てられた二つの世界があるっていう話自体は結構ありがち(?)なのかもしれないけど、松浦さんがこういう設定を考えて作中作として出してくるってことも含めて興味深いし、面白そうだから小説で読んでみたいなって思った。
