
mikechatoran
@mikechatoran
2025年6月15日

至上の幸福をつかさどる家
アルンダティ・ロイ,
パロミタ友美
読み終わった
海外文学
『小さきものたちの神』以来20年ぶりとなる小説。この間ロイは評論などを発表しながらアクティビストとして活動してきた。そうした活動が後押しした小説とも言える。それほどまでに、特にモディ首相以降、インドは酷い状況になっている。アンジュムを中心とした前半はそうしたインド全体の雰囲気を、ティロー中心の後半ではそれが先鋭化したカシミールの状況を描き出す。そして、多様で魅力的な人々(生者も死者も)が身を寄せ合って暮らすジャンナト・ハウスを、まるで祈りのように描くのである。複雑で難解だが、実に読み応えのある小説だった。



