至上の幸福をつかさどる家

14件の記録
- mikechatoran@mikechatoran2025年6月15日読み終わった海外文学『小さきものたちの神』以来20年ぶりとなる小説。この間ロイは評論などを発表しながらアクティビストとして活動してきた。そうした活動が後押しした小説とも言える。それほどまでに、特にモディ首相以降、インドは酷い状況になっている。アンジュムを中心とした前半はそうしたインド全体の雰囲気を、ティロー中心の後半ではそれが先鋭化したカシミールの状況を描き出す。そして、多様で魅力的な人々(生者も死者も)が身を寄せ合って暮らすジャンナト・ハウスを、まるで祈りのように描くのである。複雑で難解だが、実に読み応えのある小説だった。
- りなっこ@rinakko2025年5月27日読み終わった素晴らしい読み応え。ヒジュラ―で娼婦のアンジュムを始め、風変わりな魅力を持つティローや、ティローの恋人兼元恋人で物静かなムーサーといった、其々のきつい境遇を抱えた人物たちが、首都デリーやカシミールを舞台に力強く生き生きと描かれている。 ここであらためて知らされる現代インドの複雑さ(マイノリティを切り捨てる大国主義、カシミール紛争をダシにする印パ両国、ナクサライトの内乱、カースト間の争い…)には胸が痛い。