
数奇
@suuqi
2025年6月15日

第四間氷期
安部公房
読み終わった
「未来を予言する機械」という設定でどうしてこんな飛躍的な展開を描けるのか。最後までずっと予想のはるか頭上を行き続ける展開で、その発想力に戦慄する。
予言機械もあくまで人間がデータを提供して推理を行うというもので、人格までも再現できるあたり、今だとchatGPTのようなAIを思い出させる。1958年の作品で日本では最古の長編SFと言われているらしいけど、コンピューターも無い時代にこれが生まれているのは信じられない。
「この物語は未来を否定も肯定もしない」という安部公房のあとがきも痺れる。未来とは現代の価値基準からは断絶されたものというリアリティ。最後の、未来の人類から見た現代人の描写にはゾクッとした。安部公房作品にしては不条理さも薄く読みやすく、とても面白かった。





