第四間氷期

16件の記録
- 数奇@suuqi2025年6月15日読み終わった「未来を予言する機械」という設定でどうしてこんな飛躍的な展開を描けるのか。最後までずっと予想のはるか頭上を行き続ける展開で、その発想力に戦慄する。 予言機械もあくまで人間がデータを提供して推理を行うというもので、人格までも再現できるあたり、今だとchatGPTのようなAIを思い出させる。1958年の作品で日本では最古の長編SFと言われているらしいけど、コンピューターも無い時代にこれが生まれているのは信じられない。 「この物語は未来を否定も肯定もしない」という安部公房のあとがきも痺れる。未来とは現代の価値基準からは断絶されたものというリアリティ。最後の、未来の人類から見た現代人の描写にはゾクッとした。安部公房作品にしては不条理さも薄く読みやすく、とても面白かった。
- さよ子@syk___ily2025年5月3日読み終わった未来を予測する「機械」、現代だとAIや人工知能と呼ばれ今や私たちの生活に広く馴染んだこの代物を安部は60年以上前に考え出した。 「機械」は未来を予測し、やがて生みの親である勝見博 土を死へ誘う。 序曲の序文が「機械」の話す未来だとわかった時のゾワゾワ感……! 最後の涙を流すシーンを美しいと感じるのは地上に生きる人間故の感情であって同じ水棲人間は醜く思うのだろうか。 読み終わった後、顔を上げると広がる現実が酷く恐ろしく見えた。
- いしくら@koji_ishikura2025年5月1日読み終わった1950年代後半に書かれたこの小説、確かに当時の冷戦など背景にありそうだけど、AIで推論する話を書いているのが凄まじすぎる。さらに、社会性やテクノロジーの話に終始するのでなく、ーーここが最も素晴らしいところなのだけどーー最後の最後で、詩情とロマンチシズムが垣間見える。そこに感動した。物語もぐんぐんドライブしていくような推進力があり、面白かった。
- さよ子@syk___ily2025年4月23日読み始めた序曲の「死にたえた、五〇〇メートルの深海で、退化した獣毛のようにけばだち、穴だらけになった厚い泥の平原が、とつぜんめくれあがった。」の引き込み具合に鳥肌。まだ読み始めたばかりだけどもう良い作品なのが……
- みくら@mikura7272025年4月10日読み終わったAI、音声ディープフェイク、地球温暖化(氷河期化)、新人類…ほんとにこれを50年以上前に?!と度肝を抜かれるほどに今でもリアルなSF長編。 安部公房らしい(なんて言えるほど読んでないけど…)薄暗さと女性描写に現代読者としてはちょっと目が滑るところもあるけれど、この先見性、本当にすごいなぁ…