
ハム
@unia
2025年6月16日

一撃のお姫さま
島本理生
読み終わった
「一撃のお姫さま」
〈依存させることに依存した君の笑顔は可愛かった
今日もこの街は私たちを奪っていく〉
ホストにお金を使うことは、触れられる権利ではなくて触れなくてもいい権利にあるという気づき。
どちらかが利用し利用されるみたいな構図に見えるものも、実は双方ともに満たされながらも搾取される世界がそこにはある。
その描かれ方がさすがだなと思いました。
改めてなぜ島本理生さんの作品がこうも好きなのか考えてみた。
登場人物の「傷つきやすさ」や「脆さ」が丁寧に描かれている。しかもそれが弱さとしてではなく、繊細であることの強さとして立ち現れてくる感覚がある。
今回の作品でもどの主人公も傷ついた部分を持っていて、でもその弱さを中心としたストーリーの中で曖昧でどっちつかずであったとしてもそれが物語の軸の強さとして機能している感じがある。
弱さを克服したりもせず、必ずしも答えを出さなくてもいいというスタンスが表現されることが多くて、自分が大事にする生き方に深く関わるものがあるからこうも惹かれるのかなと。