
ひろき
@bayleaf
2026年2月16日
世界99 上
村田沙耶香
読み終わった
2月課題本(個人的)
一章
かなり面白い。気になる点もあるが
他人に呼応する能力の高い人間ロボットが主人公に置かれ、謎のペット、歴史のない町などSFっぽい要素が多い。その一方でストーリー中に起こる出来事は現実の地続きのようで、我々がいつか経験したことから昨今の排外主義までも攫っていく。現実とのリンク具合がちょうどよい。
大学編あたりからだれる。男性の人物描写があまりにも偏りすぎているのがやや気になる(女性の、レナやアミや白藤などは「顔が浮かぶ」のだが、男性はどれもカオナシのようである。最近読む小説そういうものが多く、この点で粗い。ただそういう主人公の目を通しているのでしょうがないか。…ここ最近読んだものはそういう作品が多いなと思う。夏物語はこのあたり丁寧であったが)。
一方で、そのように薄目で見ていた偏った性質の男性キャラが、過去の自分の行動/気持ちと重なるような気もしてきた。その急に近づいてきた感覚が読後にあらわれ、恐怖した。最初に遠ざけて見た分のブローが深く効いてきた感じ
2章で世界が多層化する。かなり面白くなった。ただ白藤さんに対して特別シニカルな目線なのがどうも気になる。「私は99でずっと俯瞰で見てたよ、ようこそ」的なことを最後に言ってるけど、その俯瞰力は主人公にのみ備わったものでもないような…。
"そんなこと"わかってて99を避けて3にいる白藤と
"そんなこと"わかってて3を避けて99にいる空子ということじゃないのか?
下巻の序盤で、自らの痴漢被害経験を思い出し、クリーン化した世界には痛みの共有が消えたことに気づく。シニカルな視点が自らの被害経験を通じて転換するか?注目
ここまではマルティンニーメラーの詩っぽいディストピアだなと思う

