
ヨル
@yoru_no_hon
2025年6月18日

両方になる
アリ・スミス,
木原善彦
読んでる
まだ読んでる
ああ、と彼女は言った。だから泣いてるわけ?でも、本当は消えたわけじゃないわ。だからこそ、金の指輪より素敵なの。輪は実は消えてない。たまたま私たちの目には見えなくなっただけ。本当は、今でもずっと広がり続けている。あなたが見た輪はどこまでも進み続けて、どんどん広がる。水溜まりの端まで達したら、今度は水から出て、目には見えないけれど空気の中を進む。驚異の現象ね。体の中を輪が突き抜けるのを感じた?感じなかった?でも、通ったのよ。今ではあなたも輪の内側にいる。ママもそう。私たちは二人とも輪の内側にいる。この庭も。瓦の山も。砂の山も。新小屋も。家も。それに馬、パパ、伯父さん、お兄ちゃんたち、職人さんたち、家の前の道も。よそのおうちも。それから塀も庭も、家も教会も、宮殿の塔も大聖堂の尖塔も、川、裏の野原も、ほら、あの向こうの野原も。あなたの目はどこまで見える?あそこの塔、向こうの家が見える?誰も何も気付かないけれど、輪はそこを通り抜けているの。ここからは見えない野原や畑の上に輪が広がるところを想像してごらんなさい。野原や畑を越えてその向こうの町、さらに向こうの海まで広がっていく。次は海の向こうまで。あなたが水溜まりに見た輪は世界の縁まで広がり、縁まで行ってもまだ進むのをやめない。何もそれを止めることはできないわ。(p.18)
『両方になる』はなぜか没入できなくて、すぐ内容を忘れてしまう、今は読むタイミングではないんだろうな、とも思うけど、読みたい気持ちもあるので、根気強くページを開く。20pぐらい読んで、少し間をあけてまた開くと忘れているので、最初から読む、というのを、購入してから5回以上はやってる気がする(笑)
アリ・スミスのこういう文章すき。










