
ハム
@unia
2025年6月18日

さみしくてごめん
永井玲衣
読み終わった
彼女の作品を読むのは三作目。
改めて思うのは、島本理生さんの作品との親和性があるということ。
永井玲衣さんは哲学をツールとして使うというのではなく、哲学に考えさせられているという態度を取っている。
ここにはなんでもすぐに役に立つか否かの実用主義的な考えに待ったをかける態度があって、成果や答えがあることよりも常に自分を揺さぶってくる感覚を大事にしている様子が本作でも多く伝わってきた。ここは島本理生さんの小説で描かれるものと重なる気がして、だからこそ両者ともにすごく好きなんだなと感じた。
茨木のり子さんの「自分の感受性くらい自分で守ればかものよ」という詩を引用した先生に対して、原典を知らない生徒のひとりが「ばかものよとかうざいんだけど」という反応をしたエピソードに対して永井玲衣さんは、「伝わらないって悲劇なんだけど面白い」と。
こういう身近なところからポップに問いを深めていく一方で、
「世界にはまだ奥行きがあるということを信じられたとき、絶望と希望が生まれる。圧倒されるような果てしなさに膝をつきたくなる絶望と、ここが行き止まりではない希望だ」というように、鋭い感性も発揮されていて、まさにそれこそ奥行きを体現しているようで引き込まれました。
会ったこともない國分功一郎さんもiPadを叩き割るだろうのくだり、シュールすぎて笑えた。
哲学って自由でおもしろいと思わせてくれる。





