
JUMPEI AMANO
@Amanong2
2025年6月19日

〈病と戦後〉の歴史社会学
土屋敦,
坂田勝彦
読み終わった
お風呂読書
自宅
第1章、西川純司さんの結核と療養生活、そして「抗生物質の神話」にかんする論文。本編と関係ないけど、ご著書『窓の環境史』面白そうなタイトル。
第3章、後藤基行さんの「国立肥前療養所の開放医療」についての論文。色々な意味でアーカイブは大事だな、と。
〈日本の病や障害をめぐる歴史研究は、とりわけ二十世紀後半期日本の医療や福祉行政の根幹をなしてきた病院や施設が作成してきたアーカイブズへのアクセス不良という制約のもとで展開せざるをえなかったのであり、このことの意味はこれまでの研究史上で十分に意識されてこなかったのではないか。[...]逆説的ながら、医療や福祉というヘルスケアに関わるアーカイブズが体系的に保存されず、不良なアクセシビリティーの環境下にありつづけていることは、医療機関や国家政策が犯した罪を隠蔽した可能性とともに、そうではなかった可能性をも検証不可能にし、制度側に対する不信と偏見を必要以上に増幅させてきたかもしれないのである。〉(108頁)
第4章、香西豊子さんの種痘と森永ヒ素ミルク中毒事件の「後遺症」をめぐる論文。
〈今後、同様の切り離しによって私憤が公的領域から排除されないようにするには、被害者と一般の生活者の間を隔てる当事者という壁を変えていく必要があるだろう。〉(141頁)
終章(土屋敦さん)は全体のまとめ。

