
数奇
@suuqi
2025年6月20日

西の魔女が死んだ
梨木香歩
読み終わった
最近読書をはじめた友人が「読んだけど良さがわからなかった」と言っていたので自分も読んでみることに。梨木香歩作品を読むのは4冊目。読んでみて、日常のなかにスピリチュアルな死生観を描くのはやはりこの作家の持ち味なのだろうと感じた。
おばあちゃんの家で暮らす、自然に囲まれた生活はとても素敵で、心温まるものだけれど、主人公である「まい」がそこにとどまらないことを自ら選ぶというのがこの作品にとって重要な部分なのだと思う。魔女になる修行で肝心なことは「何でも自分で決める」こと。それはとても難しいことだけれど、まいはそのメッセージをおばあちゃんからしっかり受け取り、自分の人生を生きていく。
合わせて収録された短編『渡りの一日』でも、自分の生き方を貫く女性たちとまいの出会いが描かれ、美術館に飾られた、飛翔するサシバの群れの絵画からもその生き方を感じとり、まいは涙を流す。ちょっと不思議な世界観の中で、生きる上でのヒントやメッセージに富んだ作品であると感じた。
しかし、とても好きな作品だったかと言われるとちょっと合わない部分もある。文章、人物、会話など、個人的にどこか合わなさを感じてハマりきれないところもあったし、『西の魔女が死んだ』のラストもあまり感動できず。これまで読んだ梨木香歩作品に対しても、表現していることは好きだけどなんか合わないんだよなと感じてきたため、これも似たような感想になってしまった。






