
もん
@_mom_n
2025年6月12日

殺人出産
村田沙耶香
読み終わった
心に残る一節
@ 電車
ライブ会場に向かう電車の中で読む。
表題作は、他人を産みたいとも殺したいとも思わない自分には全く共感できない物語だけれど、それでものめり込んで読んでしまうのはやっぱり村田さんの文章が好きすぎるからなんだろうな。
最後の『余命』が特に好き。勝手に生まれさせられたんだから死ぬ時くらいは自分で決めたいと考えることがあるが、自分で自分を葬るのも確かに大変だよなあ。
p.89
「世界の変化は止められないわ。いくら叫んでみたところで、『更生』されるのはあなたのほうよ。あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」
p.94
私たちはいつ死ぬかわからない日々の中を生きている。いつ殺すともしれない日々の中を生きている。殺人のそばで、私たちは取り替えられながら生き続けている。きっと何千年も前から。
p.118
たとえ100年後、この光景が狂気と見なされるとしても、私はこの一瞬の正常な世界の一部になりたい。私は右手の上で転がる胎児を見つめながら、自分の下腹を撫でていた。


