
もん
@_mom_n
2025年6月13日

⾳を⽴ててゆで卵を割れなかった
生湯葉シホ
読み終わった
心に残る一節
@ カフェ
深夜に新宿三丁目の喫茶店でコーヒーを飲みながら読む。ネットカフェで一眠りして、歌舞伎町の喫茶店でモーニングを食べながら続きを読む。あまりにも面白くて、読み終えるまで喫茶店に居座った。
生湯葉さんの人柄が大好きになり、この人の書くエッセイをもっと読みたいと素直に思った。
魅力的な人がたくさん出てくるけれど、私は特に星野くんが好き。
p.28
呪いさえ口にしないことの冷酷さが許せなかった。おまえ、私と無関係で私を憎みつづけられると思うなよ、憎しみはおまえだけのものだろうが、おまえの憎しみに責任を持てよ、というようなことを日記には書いて、怒りに体を燃やしながら眠った。
p.95
ふつうじゃない。その言葉はどう咀嚼しようとしても粉薬のように口の中に貼りついて残った。
p.143
問題、もし早く解き終わっちゃったら終わった感じのオーラを出しといてね、そしたら私できるだけ気づくようにするから、と曖昧なことを毎回言うようにしていたら、あるときから全員がばらばらの“終わった感じ”を出してくれるようになって、その違いを見るのが無性に好きだった。
p.144
あのころ、自分を通り過ぎる視線のすべては意味であり評価だった。所作の一つひとつに何かを仮託されてしまうものだから、息を吸うことも吐くことも容易ではなかった。眼差されるたびに輪郭がたまねぎのようにほろほろと剥けていき、世界がすこしずつ自分を侵食していくような心地がした。


