
ハム
@unia
2025年6月20日

MONKEY vol. 36 特集 オーイン・マクナミーという謎
オーイン・マクナミー,
柴田元幸
読み終わった
オーイン・マクナミーという作家を初めて知り、初めて読んだ。
アイルランドの作家で、文体にかなり国の歴史的な背景が色濃く出ている感じがあり、日常のちょっとした風景にもどこか張り詰めた空気や重たい余韻が宿っていた。
純文学のようで、社会や政治に対する思いが滲んでいるようでもあって、キレがあるなんてのがぴったりはまる感じ。
ストーリーに起伏があっても激しさを感じさせない静かに燃えたぎるような筆致も魅力的だった。
作品のどれもが周縁化された存在や、抑圧された記憶の中にある美をすくい取る感性のあらわれに思えたし、「見捨てられた人々」、「国家に傷つけられた人々」の中に、光を当てるというより陰影の美を見出すような詩的でおしゃれな表現がすごく印象的でした。


