
もん
@_mom_n
2025年6月20日

明け方の若者たち (幻冬舎文庫)
カツセマサヒコ
読み終わった
心に残る一節
@ 自宅
刊行当初から話題になって映画化もされて、天邪鬼な自分がずっと避けてきた作品。カツセさんのSNSもラジオも好きなのにデビュー作を読んでいないのはまずいだろうと思い、今更ながら読んだ。
今の自分は周りの年上の人たちから「一番楽しい時期じゃん」と言われるような年齢だけれど、羨ましがられるような楽しいことなんて何もない。この作品を読んだら健気で孤独な主人公がいて、眩しくて虚しくて愛おしくてたまらなくなった。
p.150
もう覚悟を決めてしまった彼女の一番やわらかい部分を揺さぶって、その「覚悟」がどのくらいの強度でできているのか、念のため確かめてみるのだろう。
p.161
沈黙は金、とわかっていながら、参加賞すら取れないほどに愚かな行動を取ってしまうことが、稀にある。でももう一度会えれば、もしかしたら全ては解決するのかもしれない。解決しなくても、絶望的に彼女が足りていない僕の心と体は、少しは潤いを取り戻せる。そうおもっての行動だった。
p.173
シャワーヘッドを握る。浴槽に叩きつける。「あ」が溢れる。壊れて、割れてほしいのに、何も変化がない。壊れろ。割れろ。「あ」が溢れる。シャワーの音が、聞こえなくなる。口の中に血の味が広がる。「あ」が溢れる。「あ」が溢れていく。頬に涙が水か血が流れている。

