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@kyri
2025年6月22日

朝のピアノ 或る美学者の『愛と生の日記』
キム・ジニョン,
小笠原藤子
読み終わった
@ 自宅
最後の日の一文を読んだとき、ああよかったなって、心から思った。そこにたどり着くことができるなら、死ぬことも怖くないかもしれない。
わたしは常々、自分には人生が足りないと思っているけれど、こういう、『朝のピアノ』であれ『無人島のふたり』であれ『急に具合が悪くなる』であれ、遠からず訪れる死を見据えて書いた人の本を読むとき、誰にとっても人生が「足る」瞬間など死ぬまでこないのだということ、私だけじゃないのだということ、人生は死ぬまで「足りない」からこそわたしたちはものを考え、感じ、そして書き残すのだということを思う。
ひとりの人を見送る気持ち、静謐に手が触れる感覚、こういう気持ちを「敬虔」と呼ぶのだろうか。



