haku "終末のフール (集英社文庫)" 2025年6月22日

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@itllme
2025年6月22日
終末のフール (集英社文庫)
この本はどの短編でも"死"について綴られていた。けれど、読み終えた今、"死"に対する恐怖が残っているかと言われればそれは全くない。 隕石が落ちてくるあと3年の時間を登場人物たちはそれぞれ生きていて、それぞれ選んでいた。紡いでいた。 生きている人だけが描かれるのではなく混沌とする世界の中で"死"選んだ人、殺された人、悪事を働いた人、生きているけれど大切な人を失った人。 ただ、"生きろよ!"と言うのではない伊坂さんの優しさが散りばめられていたように思う。 この本は2009年のものだけどコロナ禍が終わり落ち着きを取り戻した私にはsfに思うには現実味があったように思う。 最初読み始めた時は本当にその当時のことを書いているのかと思ったくらいだ。 "鋼鉄のフール"に登場する苗場の言葉は強く強調されているように見えた。 それは今の誰かの生き方にもつながるのではないかと思う。 苗場にはモデルが存在するらしく私はあとがきでそれを知り、すぐに調べた。 生きるということは綺麗事ではないし時に醜さの方が勝ることもある。 その醜さがどの作品よりも美しさに紛れて リアルに丁寧に描かれていたように思う。 "明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?" "あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?" この本を手に取って良かった。 古本屋に入って1番最初に目に入ったのだよ。
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