
Anna福
@reads--250309
2025年6月22日

なんでもない一日
シャーリ・ジャクソン,
市田泉
読み終わった
日常の皮をかぶった不穏と滑稽の断片が静かに心に爪痕を残す、絶妙さ。以下の3つが特に好み。
「悪の可能性」では、名家の老女による“善意の暴力”がぞっとする。いわば裏アカでそっと毒を囁く感じか。人間の本質に潜む“無自覚な邪悪さ”に目を凝らせ。
一方、「レディとの旅」は異質な出会いがもたらす希望の芽を静かに描き、読後に余韻を残す。
「喫煙室」では、ラスボス級の圧を放つ寮母の存在感が圧巻。不条理ホラーのような空気感と、支配と服従の人間関係が異様なテンションで絡み合う。
そして意外にも光ったのが5篇のエッセイ。家庭という“ありふれた戦場”で繰り広げられるジャクソンの日常は、彼女の創作と地続きでありながら、愛嬌と皮肉が絶妙に混ざり合っている。「男の子たちのパーティ」に見られる“男子ママあるある”には盛大に共感し、「デパートとの返品闘争」ではもはやコントの域に達するカオス!


