
つたゐ
@tutai_k
2025年6月23日

クジラ捕りが津波に遭ったとき
森田勝昭
読んでる
心に残る一節
「日本列島で残った小型捕鯨は、地域文化、伝統文化、あるいは食文化という切り口で取り上げられ、議論されることが多い。とりわけ一九八八(昭和六十三)年のモラトリアム実施後は、「クジラは文化」という社会的ディスクール(紋切り型のフレーズ)が出来上がった。
身近にあるメディアを見ると、伝統の日本食文化、古典芸能を支えるクジラ製品、絵画、物語、祭りなど、それは歴史の「深さ」や「華やかさ」に彩られた文化だ。しかし、考えてみればこれらはほとんどが、いわば、「都市の消費者の文化」だと言わざるを得ない。そこには食肉生産者の視点はほとんど含まれていない。戦後の南氷洋や北洋で展開された大型捕鯨を語る場合も、多数の労働者の過酷な生活は背景に後退し、「生産量世界一」など、消費者のナショナリズムを鼓舞する常套句が前面を飾る。」 p127