
読書日和
@miou-books
2025年6月24日

星の教室
高田郁
読み終わった
星の教室
高田郁
図書館で長く順番待ちしていた本。
主人公のさやかは、いじめがきっかけで不登校となり中学校を卒業していない。
中学校中退という学歴は生きにくくて、仕事も転々としていてようやく続けられそうな仕事も履歴書の提出を求められてここも辞めるか・・というタイミングで夜間中学という存在を知り、そこから自らの人生を諦めない、手放さない、と進んでいく物語。読み始めたら感動して泣きそうになるわ、止められないわで一気読み。
2001年の連載をもとに書籍化されて、四半世紀が経った今夜間中学の状況も変わっているでしょう・・。でも実在する大阪市立四天王寺中学の夜間学級を丁寧に取材されて(物語自体はフィクションです)夜間中学に通う方の実情が見えてくる。
いじめや他の理由も含めて不登校になった若者、戦争時代の残留孤児、在日外国人、学びたくても学べなかった人、識字率の高いこの国で字が読めないといいう事実、「夜間中学で手に入れた文字は、もう誰も私から奪うことはでけへんの」という正子ハルモニの一言に学ぶ、ということがぎゅっと凝縮されているように感じた。
物語全体にはっとしたり、傷をいやされるような言葉・エピソードがたくさん散りばめられている。「サヤサヤ、自分で気ぃついてるか?いっつも誰かと比べて、勝手に落ち込んでるん」
こういう学びの場があること、本当に必要な人のところにはなかなか情報が届かないというのがジレンマだけれど、必要な人に夜間学級という学びの場があること、届きますように。