
つたゐ
@tutai_k
2025年6月24日

クジラ捕りが津波に遭ったとき
森田勝昭
読み終わった
『クジラ捕りが津波に遭ったとき 生業の人類学』森田勝昭 名古屋大学出版会
名古屋の丸善で見つけて購入。
『捕鯨』を捕鯨船の内側にいる様々な人から聞き取って描き出した本。タイトルに「津波」の文字があるけど、東日本大震災の津波被害を受けた捕鯨の町鮎川の捕鯨関係者の聞き書きを丁寧にまとめ、津波の被害を受けてもまた「続けていく」「やめない」生業の記録だった。「文化」というよりほんとうに「生業」でこの本では「クジラ」って単なる生物の分類ではないし、捕鯨という漁法でもない、人間や土地や、存在までもを内包する言葉で、そこがすごく良かった。
わたしは「捕鯨」という単語を聞いた時に、ものすごく一方的な眼差ししか持っていなくて、その眼差しというのは「現代的」で「倫理的」に正しいことに多くの場合広い場所で認識されているけど、それは本当にそうなのかな、と思った。
「文化」というプロパガンダでもなく、「野蛮」というレッテルでもない、生身に生きてる人が営む「生業」、コミュニティの基盤としての捕鯨についてもっと考えていけるといいなと思った。