
らこりさ
@rakorisa
2025年6月25日

その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか
アグラヤ・ヴェテラニー,
松永美穂
読み終わった
インパクトのあるタイトルと不穏な表紙から敬遠してしまっていたが、腰を据えて読んでみることにした。
いろんな意味でこんな小説は読んだことがない。じわじわと胸が抉られる思い。間違いなく記憶に残る作品だった。
作者のヴェテラニーはルーマニア生まれで、独裁政治から逃れるために、サーカス芸人の両親と叔母と共に外国を転々とした。これはその自伝的作品で、少女の視点から綴られる文章からは心の叫びが聞こえてくるようだ。
児童労働、虐待、性的搾取、喪失の経験。あまりにも過酷な運命。
39歳で精神状態が悪化し入水自殺したという作者。その事実を知って読むと、なお悲しい。
