nogi "春になったら莓を摘みに" 2025年6月26日

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@mitsu_read
2025年6月26日
春になったら莓を摘みに
これが20年ほど前の本とは思えなかった ずっとずっと前に買った時は読めなくてどこかへやってしまい、改めて春に買い直したものだけど、読めてよかったなと思う 梨木さんのエッセイは他にも「水辺にて」「炉辺の風おと」「やがて満ちてくる光の」など、いくつか読んできたけれども、これがいちばん、答えの出ない状況に惑うときにそばにあって安心する本かもしれない(家のように安心する、という類の安心ではなくて) p160 〝謝罪要求する彼或いは彼女が望むことは、本当は「対等」の立場を奪回することなのだ。虫けらのように扱われた、そのとき一瞬でも変容してしまった自分の意識――哀れみを乞う、卑屈になる、怯える、徹底的な劣位を体験する――自分の身の上に起こったそういう感情を払拭することだ。(中略) 彼、或いは彼女らの心を相手が本当に悼んでくれたと、彼或いは彼女らが感じることができたら、そのときやっと本当に「それ」が終わる。〟 p224 〝……モシェ、イスラエル建国は本当に喜ばしいことだろうか。それからのあなた方のパレスチナに対するやり方も。マサダの砦であなた方は負けた。あなた方があのときからずっと、二千年近く、このことを悲願としてきた気持ちは想像できる。分かるとは言わないけれど。モシェ、私はあなたが真面目に洗いものをしているときの顔が好きだ。けれど、戦争は、あなたのその日常の顔を、どこへやってしまうの?……〟
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