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@bunkobonsuki
2025年6月27日

虐殺のスイッチ
森達也
虐殺する側は残酷で悪辣な人たちなのか?
むしろ、善人が集団になった結果、虐殺が起こるのではないか?
地下鉄サリン事件を引き起こしたオウム真理教。彼らのドキュメンタリーを撮影した著者は、オウム信者とされる者たちが善的な振る舞いをすることに驚き、同時に彼らを糾弾する社会が平然と権利侵害を行うことに疑問を抱く。
なぜ虐殺は起きるのか?自身の体験も交えながら、虐殺のメカニズムを追究する。
本書を読むと、伊藤計劃の「虐殺器官」をしばしは想起する。この小説では"虐殺の文法"という人々を戦争に駆り立てる文法が登場するのだが、この本に触れて「そうした文法は本当にあるのではないか?」と納得してしまう。
