綾鷹
@ayataka
2025年6月27日

情報分析力
小泉悠
・溢れる生情報を分析する方法(いくらでも手に入るようになった情報について、それらが何を意味しているのかを知る方法)はインターネットでも中々手に入らない
・インターネット上の情報はフェイクが混ざりやすい
・情報を処理して意思決定の判断材料になるよう仕立て直したものをインテリジェンスと呼ぶ
◾️1章
・「能力」を分析の出発点にすることで、起こりうる事態の上限を把握する
・情報を取るだけでなく、背景を知っているかどうかで解釈が異なる
・戦略レベルでは意図を把握できても、戦術レベル(現場の動き)ではまた別かもしれない
・信頼できる隣接分野の専門家を頼る
◾️2章 情報分析で大事なスタンス
・情報は何らかの形で役にたつ何かに変換する必要がある
・書き手は「読み手(お客さん)」を意識して書かねばならない(要約したり、用語を置き直したり、まとめ直す)
・情報資料作りは自分の頭の中を可視化して、第三者目線で再検討すること(「何となくわかった」にならないようにアウトプットして矛盾点に気付く)
・背景情報(広く浅く)、コア情報(深く)、足で稼ぐ情報(文献だけでは把握できない、より体験的)
・必要な情報には身銭を切る
・頭の中で分析対象を模倣できるようにしておく(彼らなりの合理性を理解し、きっとこう考えるだろうと推測する)
◾️3章 情報を取る
・何を目的に情報を集めるのかが大事(「私たちは何をわかっているべきなのか」という提案力が求められる)
・情報収集をするときは、問い=情報要求のレベルに合わせて解像度(情報の細かさ)を調整する必要がある
・情報資料作りでは「書く」より優れた方法はない
・文章を書くことで追加収集すべき情報が見えてくる
◾️4章 集めた情報を分析する
・「背景情報」取り方のポイント
①分析対象について書かれた母国語の書籍を読む
②分析対象を「広い構図」(政治・経済・歴史等)で捉える
③分析対象が「今の姿」にどのように辿り着いたかを知る
論文1本、あるいは研究書の1章分をノルマとして毎日読むと1年後には相当の知見が集まる
・「コア情報」情報処理装置作りのコツ
①文献が参照している資料を芋蔓式に読む
②専門家の論文からデータ解釈の知見を得る
③体系化する(「この問題にはこれとこれを読めばいい」とすぐ分かるようにタグ付け。「読み方」の参考になる資料は「考察」「分析」といったタグを追加)
④人に聞く(分析方法、オタク的に詳しい分野等)
⑤経験値を貯める(足で稼ぐ、定点観測等)
・一般論の後に、具体的な各論を語れるかどうかが情報分析の優劣を分ける
◾️5章 情報をまとめる
・とりあえず現時点で手元にある、あるいはすぐ集められる情報を図表やグラフにしてみる
・図表やグラフを基に仮説を立てる(文章にする。情報収集の指針ができる)
・アウトプットができないときはインプットを増やす
・作成した文章に納得できないときは、「文章を組み替える(配置を工夫)」「時間を置いてから文章を見直す」「やり直す(一から書き直す)」
・情報資料の体裁を整える(忙しい人がさっと見てわかるようにする)
①冒頭に要約をつける
②重要なキーワードに下線を引く
③文章の中に見出しをつける
④グラフをつける
⑤わかりやすい言葉を使う
◾️6章 情報分析で陥りやすい罠
・情報分析者の慢心
・情報需要者が「こうに決まっている」という予断のもとに情報要求を出してくる
→自分の分析結果を相対化する必要がある
・分析対象の言い分に同調してしまう
→自分の偏りを認識する
・情報通で終わってしまう
→継続的にアウトプット(文章化)する
・「ヘンな専門家」の見分け方
①「偏な専門家」情報分析が予断に満ちていて、やたら断定調
②「変な専門家」分析結果自体がおかしい。やたら細かい話ばかりしていて結論がない情報通タイプ。分析対象のエミュレーターのスイッチが切れず、陰謀論に陥っている可能性がある専門家
・AI等の新テクノロジーがどれ程のものか見極めるには、自分が情報分析に精通していないと振り回されてしまう
・情報分析には人間についての理解が求められ、その人間が1番厄介なファクター。文学を読むことでこの世界に様々な事情で存在する無数の人間性を疑似体験することができる

