
おでんち
@odenchi
2025年6月28日

国宝 下 花道篇
吉田修一
読み終わった
上巻の最後に10年振りに戻ってきた俊介
下巻は鶴若に虐められろくな役も貰えず低迷を極めた喜久雄と出奔から戻った俊介が相乗効果でのし上がっていく
俊介の10年も壮絶だった
周囲を支える女性達の活躍も細かく語られており、それぞれの立場と想いに触れ共感を誘う
それぞれのエピソードが心を打つのだが
中でも、糖尿病に侵され両足の切断から命まで脅かされた俊介の最後の舞台…執念がものすごくて泣けた
あと綾乃を足抜けさせるために躊躇いもなく指をつめた徳次…坊ちゃんのためにそこまでできるのかと泣けた
自宅が火事になった時に綾乃が言った、周りの不幸の上に喜久雄だけがいい目を見るってのホントに本人が図ってやったワケじゃないのにそれこそ不幸というべきか
そうやって祀り上げられる運命(さだめ)なのだろうなぁ
もはや喜久雄は究極を超えた先…人類が到達できないところまで行ってしまったのですね…まさしく孤高の人…
いろんな先人達の影が見える…本人の力ももちろんだが、関わってきた人々や運命のいたずら等何が欠けても成し遂げられなかっただろう
…とこんな風にすっかりのめり込んでしまった。

