
CandidE
@araxia
2025年6月28日

新訳 大いなる遺産 上(1)
ディケンズ,
河合祥一郎
読み終わった
新訳を読む。
「ピップ、愛しい相棒、人生は数えきれねえほど多くの部品が溶接されてつながってできてるもんだ。それで、ある者は鍛冶屋、ある者はブリキ職人、ある者は金細工師、ある者は銅細工師だ。そういった区分がねえといけねえ。そりゃ受け入れねえといけねえ。今日、何か粗相があったら、そりゃ俺のせいだ。おめぇと俺とは、ロンドンで一緒になるべき人間じゃねえ。一緒におれるのは、俺たちだけの、仲間内の、見知ったところでだけだ。別に威張って言うわけじゃねえが、俺はちゃんとしていたい。だすけこんげな服でおめぇに会うことはもう二度とねえ。俺は、こんげな服、着てちゃだめなんだ。俺は鍛冶場から出ちゃだめなんだ。鍛冶場から、台所から、ぬめ地から出ちゃだめなんだ。俺が鍛冶場の服着て、この手にハンマー握ってるところ見たら、いやパイプだってかまわねえ、そんげな俺見たら、おめぇは今日の半分だって俺んこと、だめなやつとは思わねかったはずだ。もし、今後俺に会いてえと思うことがあるとしたら、鍛冶場の窓から覗いて、鍛冶屋のジョーがそこで古い鉄床ん前で、焦げた古いエプロンつけて、相変わらずの仕事守っているところ見てくれたら、この俺だってそれほど捨てたもんじゃねえってことはわかるはずだ。俺はば ーか鈍いけんど、どうにかこうにか今、まっとうなこと叩き出せたんじゃねえかな。そうせば、元気でな、愛しい懐かしいピップ、なあ相棒、神様のご加護があるように!」
