
うみこ
@umico5
2025年1月29日

黒と茶の幻想(下)
川端裕人,
恩田陸
読み終わった
下巻。開いてすぐに度肝を抜かれた。この順番でいく?まさか。恩田さん…計り知れない。
「明るい場所で見る煙草のけむりは色であり流れだが、暗がりの中では、質量であり密度である。」
4人の心情と過去の謎が屋久島の自然と共に描かれていく。「今日のこの旅は、いつから決まっていたのだろう。あたしたちの人生が交錯した、あの入学式の日からもう予定されていたのだろうか。」
「心は何にでも慣れる。透き通る空の切なさにも、取り戻した過去の苦さにも。」
…読み終えて、この順序で書かれたことを心の底から納得した。この物語は理瀬シリーズの1冊と言われるけれど、どちらかというと大人版夜のピクニックなのだ。4人の男女がただただ屋久島を歩き、話し、思考し、過去を振り返る。きっと映像にしてしまうととても単調なのに恩田陸の手にかかると壮大な物語になるから不思議だ。面白かった。人間って面白い。大切な友人たちと屋久島に行きたくなった。

