

うみこ
@umico5
寝食を忘れてと言うよりは、呼吸をするように読みたい。
- 2025年4月29日マリリン・トールド・ミー山内マリコ読み終わった田舎で育った女性を描かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないかなと思う。今作はコロナ禍に東京で大学生になった女の子。山内さんは「今」を今のうちになんとか刻まなくちゃと思って書いたんだろうなぁと思った。書かなくちゃ!という山内さんの叫びが聞こえてきそうな作品でした。搾取される社会の性被害の貧困の毒親のジェンダー差別の低迷する日本経済のその先を生きる彼ら彼女らの姿を。大きな価値観の転換期を生きる彼ら。
- 2025年4月29日眼を養い手を練れ宮脇塾講師室読み終わった宮脇塾に入塾したとして使う入門書のようなもの。専門的なことは入り口程度で住宅を設計するにあたっての心構え、精神面、考慮すべきことを書かれている。表題の「眼を養い手を練れ」にはじまり「プランニングは生活の鏡、生活の母胎」「見せる光」と「使う光」「光の重心」「馴染む」など。コストも土地の環境や規制もあるしお施主さんの希望もある、そのたくさんの制約の中で最良のお家を提案し作ることをこれからも楽しんでいきたい。兎に角手帳とペンとスケールを持ち歩こうと思えたので読んで良かった。美しい住宅建築をもっと見に行こう。
- 2025年4月28日バウルを探して〈完全版〉中川彰,川内有緒読み終わった本を開くとまずラロン・フォキルの詩。そして中川さんの写真で一気に異国の喧騒と静寂の中に投げ出される。そこから始まる川内さんの語り。国連を退職後にバウル(とは何なのかはぜひ読んでいただきたい)を探しにバングラデシュへ旅する川内さん。行動力と度胸があり、知的でユーモアも感じる文章はするする読める。海図なき海を行く川内さん、中川さん、通訳のアラムさん。困っている人をほっとけないベンガル人。カレーのスパイスをひく女性たち。人が溢れる列車。テツガクが好きなベンガル人。今もフリーダムファイターなベンガル人。私はきっとバウルを探しにバングラデシュを旅することはない。でも、だからこそこうして本を開く。本の中ではバウルを探してバングラデシュに行くことができる。メラに参加した気分になれるし、知らなかったベンガル地方の歴史や人々の息遣いまで知れる。それはなんだかすごいことなんじゃないかと思った。開発と援助、発展途上国と呼ばれる(その名称もエゴがすごい)国の暮らし。ベンガルの風。 「自分の中に抱える欺瞞。なりたい自分になれないという、やるせなさ。あるべき自分はすぐそこの鏡に映っていても、自分自身の手はそこに届かない。…」あーまた!たまにある…読み始めたときには読み終わって号泣してるとは思わなかった。 そして川内さんの文章、中川さんの写真をまとめる矢作多聞さんの装丁が素晴らしい。表紙が仕上げられておらず、その上に寸足らずな長さのカバー。大きめの帯のよう。綴じ糸の色がカラフルなの初めて見た。紙の手触り、ペタンと開く綴じ方。異国を感じるタイトルページ。心をかけて、手をかけて、この本を読者に渡そうという三輪舎さんの心意気も感じる。こういう本に出会えてしまうと、やはり情報としての本ではなく、物としての本が好きだと思う。身体に栄養が必要なように、心にもこんな栄養が必要で私は今日も本を開くのだと思う。アリオさん、ここに届いてるから、書いてほしい。「世の中にぽつん、ぽつんと残っている自由とか希望のカケラみたいなものを」書き続けてほしい。と祈りのように思う。
- 2025年4月23日フォース・ウィングー第四騎竜団の戦姫ー 下レベッカ・ヤロス,原島文世読み終わった下巻はロマンス色濃いめで食傷気味になりつつ…。魔法と竜という要素が最高なのはあるのだけどダークファンタジーは現実世界の闇を反映している部分も強く、そういう意味では戦争大国をどう描ききるかというのも今後に期待。読み続けたいので続編はロマンス控えめのファンタジー色濃いめ希望。(性描写無理な場合は読み飛ばせばよいとしても、あまりにもそこに思考を持っていかれすぎる主人公を嫌いになるレベルだったので悲しい。「あの人のものだから」「俺のもの」発言…げんなり)…でも!最後!えー!そうくるかー!
- 2025年4月22日猫を棄てる 父親について語るとき村上春樹,高妍読み終わった村上春樹さんがお父さんについて書かれた文章。メッセージではなく、事実として書きたかったと書かれているように、淡々と子どもの頃の記憶やお父さんの戦争体験が語られる。戦争が一人の人生を変え形づくってしまい、その結果として春樹さんが生まれたという事実。そしてそれは世の中全体に言えるということ。「おそらく僕らはみんな、それぞれの世代の空気を吸い込み、その固有の重力を背負って生きていくしかないのだろう。」「そのときの海岸の海鳴りの音を、松の防風林を吹き抜ける風の香りを、僕は今でもはっきり思い出せる。そんなひとつひとつのささやかなものごとの限りない集積が、僕という人間をこれまでにかたち作ってきたのだ。」「しかしその一滴の雨水には、一滴の雨水なりの思いがある。一滴の雨水の歴史があり、それを受け継いでいくという一滴の雨水の責務がある。」短いので一瞬で読めてしまうのだけど、閉じてから戦争とそれがつくった人生について、考えずにはいられなかった。
- 2025年4月18日フォース・ウィングー第四騎竜団の戦姫ー 上レベッカ・ヤロス,原島文世読み終わったファンタジーは世界のつくり込み方が好みかどうかとか、あまりにもラノベ風でないかとか…ハードルがいくつかあるはずなのだけど、開いたら止められない系でした…竜ずるいなー。竜の魅力で全てもっていかれるなー。あと少しの魔法の描写と建物も好き。人間関係はまぁそうなるやろな…と予想できる範囲内やけど、それでも魅力的な登場人物たち。まだまだ物語の入り口でこの没入感はすごい。あー面白かった!すぐ下いこう。図書館本やったけど読んでる途中でネットで買いました。もちろんシリーズ続編も予約しました。
- 2025年4月15日ショートケーキは背中から平野紗季子読み終わったアルデンテの直後に読んだので、平野さんの食への愛がより深くなっていることを実感できる。「メインストリームにはできないことをやらなくちゃならない。…ミュータントだからこそできる」こと。レフェルヴェソンスの生江さんの言葉を受けての平野さんの言葉が響きすぎた。聖地巡礼したいなぁ。食の迷宮は奥が深すぎて私には解き明かせそうにないけれど、熱量の高い人の言葉をこうして読める幸せ。おいしいは今しかないけど過去が蘇ったり未来の楽しみになったり偉大だなぁと思う。もう後半は名言揃いすぎて書き出すのをやめました。
- 2025年4月15日胃が合うふたり千早茜,新井見枝香積読中
- 2025年4月14日大阪の生活史岸政彦積読中
- 2025年4月11日生まれた時からアルデンテ平野紗季子読み終わった積読してたけど、平野紗希子さんのポッドキャスト 『味な副音声』の本が出たとのことで満を持して。自称味なフレンズなので。小学生の頃から平野さんは平野紗希子やったんやなぁということにもう感無量。物事への好きの重量が重すぎる人が好きです。私はあまりひとつのことに打ち込めずに生きてきてしまったから。アルデンテが出版されたとき私は2つめの大学生活の終盤で、大学生が食べ物の本を出したらしい!と話題になったのを覚えている。20代前半の平野さんの言葉の若さが無理かなと思ってたら、意外にもキラキラして眩しく輝いて見えて驚いた。尖ってるけど、敵を増やしそうだけど、そこにすら愛を感じる。ストイックさというか。好き(偏愛)は尊い。そしてその変わらなさも驚異的。最近のポッドキャストでもnomaやレフェルヴェソンスの話してたよ。「どうしたってひとり、ひとりだけの味なんだ。」閉店してしまったお店が多く残念。いつか…ではなく思い立ったら行かないとなぁ。最後にのってるごはん本、けっこううちにもある…雪舟えまさん大好きです。NHKの連食テレビエッセー『きみと食べたい』良かったよねぇ。またやってくれないかなぁ。
- 2025年4月10日
- 2025年4月9日ルーティーンズ長嶋有読み終わった定期的に摂取すると身体と心が整う長嶋有さん。「満ちた」という気持ち。「私はかつて願いに乗っていて、またこうして願いに乗る。」描かれるのはコロナ下ではあまりにもありふれた日常だけど言葉選びが独特でその選び方が気持ち良い。愛おしいポイントが押さえられていてユーモアがある。私の日常(ルーティーンたち)も細分化して言葉にしたくなる。きっと本を閉じれば忘れてしまうような些細な夫婦のやりとり。その裏でほんとなら知ることもない色々をみんな考えたり思い出したりしてる。知らないうちにシンクロしてたりしてなかったりして。夫の仕事は作家で「ナガシマさん」と呼ばれているしあまりにも暮らしがリアルでエッセイのようだけど、視点は夫からと妻からとの章があるのでエッセイではない。コロナ下の育児と家事、日々成長していく2歳の娘、行動の制限と思考の停止、物事の静止。私もコロナ下での出産育児×3だったので、なんかもう色々ぶわーっと思い出されてたまらん!となってしまう。『愛の不時着』も見たなぁ。2人目の育休中に実家で。ディストピア、の中の小さな希望の芽のようなもの、が長嶋さんの物語にはある。もしかして、私の日常も捨てたもんじゃないのかもしれない、と思わせてくれるような。
- 2025年4月8日それでも世界は回っている 3吉田篤弘積読中
- 2025年4月8日同志少女よ、敵を撃て逢坂冬馬積読中
- 2025年4月8日タラブックス松岡宏大,矢萩多聞,野瀬奈津子積読中
- 2025年4月8日祖母姫、ロンドンへ行く!椹野道流読み終わったSNSで見かけて気にはなってた本書。友人が面白いよと教えてくれたのだけど、予想外を遥かに超えて面白くて驚き。ロンドン行ったなー懐かしい。私もばあちゃんになったら孫と海外旅行したいなー。まぁそんな孫がおればね。ばあちゃんとの旅行記であり、ホテルマンたちにホスピタリティの真髄を見せてもらったような。私も仕事ではあたたかいプロでありたいと思った。おばあちゃんの孫への眼差しにも、孫としてのおばあちゃんへの思いにもじんとくる。エッセイ苦手な人にこそおすすめしたい。そして文庫になったら手元に置いておきたいです。
- 2025年4月7日鯨オーケストラ吉田篤弘読み終わった「遠い遠い昔の方と、はるか彼方の未来の両方を見ている感じ」「いまの自分に過去のすべての自分が含まれている…」シリーズ3冊目。シリーズを重ねていくにつれて、この町を見る視点が増えて少しずつ多面体になっていくイメージ。今作は深夜のラジオDJをする曽我さんの目からみた町。ハンバーグはもちろんロールキャベツ定食も食べたいなー。四島町の住人になりたい。「いままさに演奏されている音楽には、録音されたものを再生するのとは違う何かが含まれているように思われる。音が直に肌へ伝わってきて、肌から体の中へと浸透してくる。」
- 2025年4月5日破果ク・ビョンモ,小山内園子読み終わったふーヒリヒリしたー一気読み。人殺しがどうとかはさておき、おばあちゃん殺し屋かっこよかった。爪角が韓国で愛されているということが素敵。何より、桃や蜜柑の描写が秀逸。
- 2025年4月2日
- 2025年3月31日オール・ノット柚木麻子読み終わった貧困と性犯罪と同性愛と…と書いてしまうと陳腐な感じやけど過去から未来へと続く不思議な人と人との繋がりの物語だった。この未来はすぐ来るやろうなぁ。と思うから生存率上げて生きていこ。子どもたちに残したい未来ではないから、なんとか足掻きたいけど。
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