ちょこれーと* "小説言の葉の庭" 2025年6月29日

小説言の葉の庭
『“愛”よりも昔、“孤悲”のものがたり』 読み終わってしまった。 映画では語られない周りの人たちの行動原理や心情にも途方もなく共感できてしまう。 だから作中では過ちとされてしまう行為であっても、この人にも救いがあってほしいとそう思う。 人間の綺麗なところも汚いところも全部包み隠さず掬い上げて救いをもたらしてくれる、そんな物語。 雪野先生はずっとまわりと上手くやっていく為に自分を抑えていて、なんとかこれまでやってこれたからそれが正解だと思っていた。けれどもとても理不尽で一方的な悪意に襲われて、今まで培ってきた方法では太刀打ちできずに潰れてしまう。どこにも逃げ道がないのはしんどい。そういう思いをした経験があるからすごく心境に共感してしまう。私には救いなんてものは無かったけれど。雪野先生が孝雄に救われたことで勝手にこちらも救われた気持ちになれる。 まだ自分は先に歩みを進めることができると思うことができる。 しんどい時、今がドン底だと感じる時、もう一歩も動くことができないかもと思った時、私にとってのお守り。 それにしても…あとがきで2013年に映画公開って書いてあって悲鳴をあげそうになった。そんなに前ですか!?当時の心境と現在の心境…少しは前に進めているのだろうか…。初めて読んだ時の感想とかは何も残してないから、今後また読んで記録する際は今の感想と比較してみるのもまた一興かもしれない。
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