氷うさぎ "草枕" 2025年7月1日

氷うさぎ
氷うさぎ
@yomiyomi
2025年7月1日
草枕
草枕
夏目漱石
久しぶりにAudibleで聞いた。1の部を。 他を指し示す記号としてではなく、言葉自身の物質性が前面に出てきているといった趣きである。いや、もっと正確に言うなら、物質性が前面に出っぱなしと言うわけではなくて、シラフに戻ったかのように言語が記号的に使用されたりする。多分この往復運動によるリズムがこの作品をユニークなものにしているのではないかな。比べると、例えば、古典和歌は決してシラフに戻ったりせず、あくまで言葉は言葉の世界に閉ざされていよう(『凍れる美学』という本に詳しいのではないか?昨日買ったので読み進めるのが楽しみだ)。 酔わせる言葉とシラフの言葉(signifiéとしての言葉とsignifiantとしての言葉、みたいにも言える?)が代わる代わる脳天に注ぎ込まれ、その往復運動に振り回される感覚が愉快過ぎる。 あと、ふと思ったのは、最後の主人公の絵の完成は、作品全体の中で見ると多分に倒錯的なものが含まれているのではないかということだ。文豪が批評に値しない締めをするわけがなかろうとも思った。AIに調べさせたら、やはりそれに類するような解釈がいろいろ出てきた。
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