
しまりす
@alice_soror
2025年5月14日

咒(まじない)の脳科学
中野信子
読み終わった
美の基準、時代による変遷
アメリカで最も美しい女性
→19世紀後半から20世紀初頭
歌手で女優のリリアン・ラッセル
→2014年
ルピタ・ニョンゴ
英、米、カナダにおける刑務所整形プログラム
外見の変化とその後の行動変化のあいだには明らかな相関が認められた
虚像の姿が現実を変える
オンライン上、仮想空間のアバター→実際の能力の変化
リーダー選びも外見的魅力度が基準
男性の顔の魅力度と男性ホルモンとの関連
男性ホルモンによって支配的資質があると評価されるタイプの顔→実際支配的
容姿のよい人は得だと言い切れる検証結果の数々
失敗は許され、成功はより賞賛される
悪意が露出すれば美人は不美人よりさらに恨まれる→関心の強さ故?
教師、アーティストなども同じ
脳は人間の価値を判断できない
平時と有事、敵味方での生命の価値が変わってしまうことを見れば、我々が生命の価値を認知できないことは明らか
人間は他人と比べないと自分の価値を決められない→ダニング=クルーガー効果
見た目に現れない価値を評価する能力こそが知性である
女性の成功について
18世紀、ドイツ、哲学者、イマヌエル・カント
学問の研究や思索で女性が成功したとしても、性に相応しい美点を破壊する
冷ややかな尊敬を受けるが異性に対しての絶大な魅力を失う
人類学者、フィッシャー
女性の経済的自立と離婚率には相関がある
17世紀フランスの宮廷人の姿を書き綴った作家
「13歳から22歳までは女、それも美しい娘になり、その後は男になりたい」
見た目で本当に得をするのは男か女か
文化圏の9割以上が男が女を容姿で選ぶ(同性愛者でも同じ)
美人は「わきまえて」いることが華
男性の成功は容姿の良さと相関関係だが、女性の成功は事務職なら相関あり、管理職なら逆効果となる→ガラスの天井
女性は女性を無意識のうちに引き下ろす
容姿の良い男性は悪い男性より幸福度は「わずかに」高く
容姿の良い女性は悪い女性よりも幸福に感じることもあるが、より不幸も強く感じる
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社会がかける咒
「公正世界仮説」「公正世界誤謬」の認知バイアス
因果応報と類似の概念、人間の行いは必ず将来の報いの原因となる
1960年代、社会心理学者、ラーナー提唱
→真実がどうかは問題でなく、どれだけ多くの人が信じているかという点が重要
→ビッグファイブで協調性と外交性が高いタイプがより信じやすい
カルフーンのユートピア実験
過密化がもたらした「社会的崩壊」
社会的ストレスや競争の増加が、繁殖力の低下や攻撃的行動の増加に寄与する可能性
→現代問題の少子化に関連づけられよう
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咒がかなうということ
人間以外にも咒の行動が判明
「生まれ直し」を求めて→円環運動ということ?
人にとって鏡とは、客体化して自らを認識するツール
自他の命のつながりと咒
自他の境界は曖昧、影響しあうもの、個でありながら個ではない
にもかかわらず社会的報酬や社会関係資本は自他の境界をはっきりとつけるもの
世界が「生まれ直し」(擬似円環運動?)を続けることを感じられるのは限られた人間に許される能力だろうが、より自分自身の価値を感じられる助けになるようにという咒を著者はこの本にこめる
