gato "The Sentence" 2025年7月4日

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@wonderword
2025年7月4日
The Sentence
The Sentence
Louise Erdrich
「憎むべき属性を持った愛すべき人たち」との付き合い方を、苦しみもがきながら模索した日々の物語だった。私は自分自身に大きな隠し事をして表面上はヘラヘラ生きてきた人が、そのわだかまりと向き合う瞬間の物語にグッときてしまうので、トーキーのことも最後に大好きになってしまった。 ネイティヴの人たちは自身のルーツに繋がる習慣や物語をとても大事にしている。それはアイデンティティを保証するものがあまりにも儚いことの裏返しでもある。「お前は"本物のインディアン"か?」と聞いてくる側が、土地を奪い彼らの痕跡を消してきたからだ。 そしてフローラも、形は違えどずっとアイデンティティの揺らぎのなかにいて、祖先や土地と繋がる方法を今も保持しているネイティヴの文化に憧れたのだろう。その属性と系譜にこだわり続けたせいで、フローラはたった一文の真実に殺されてしまった。でも、先祖とは関係なくフローラ自身が成し遂げたものがある。それはカテリとトーキーの人生に痕跡を残したのだ。その痕に気づくこと、その痕を直視することへのおそれが「幽霊」だった。
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