
CandidE
@araxia
2025年7月4日

ハックルベリー・フィンの冒険(下)
トウェイン,
土屋京子
読み終わった
マジでびっくりした! 刺さった。オールタイムベストであった。
上下巻を読み進めながら、私は終始「嘘とは何か?」に囚われた。そして中途で暫し、涙が出た(笑) 物語そのものというより、背後にある構想、あるいは「嘘」というものについて馳せ、なぜか涙が出たのであった。これはすんごい繊細かつ雑駁な感情で、言語化するのは難しいけれども泣いた。嘘について考えて泣いちまった。
また、下巻の半ばに差しかかったあたりのイベントで、「えええええ、あああああ、なるほどね、マークさん、あんた、そんな感じの嘘つくの? それ、大嘘じゃん。マジで? あんた筋金入りの嘘つきじゃん。大物かよ、天才かよ」という衝撃でぶっ飛んで、大笑いした。
と同時に、世界はすべてがフィクションで、自分の記憶も、自分自身の存在もすべてが「嘘」によって構成されている、という感覚が不意に私を捉えた。それは、なぜか清々しい。そして、その認識の上書き、あるいは呪いは、これからもずっと消えない解けないだろうと思われた。
兎角、私にとってこの物語は、「小説における嘘」「人生における嘘」について特別な感懐をもたらした。深く刺さっちまった。
“自分が正しいことしようと、間違ったことしようと、そんなの関係ねえんだ。人間の良心ってやつは、ほんと、わからずやで、どっちに転んでも責めたててくる。(中略)良心ってやつは人間の心ん中でほかの何より幅をきかしてるくせに、どのみち何の役にも立ちゃしねえ”
そんな感じで『ジェイムズ』へ向かうのであった。





