ゆらゆら
@yuurayurari
2025年7月4日

ぼんぼん
今江祥智,
宇野亜喜良
読み終わった
読書会の課題本で読む。児童文学者の今江さんについては知っていたけど、この本については知らなくて、このタイミングで読めてよかった。
話は、大阪の船場あたりに生まれ育った“ぼんぼん”(お坊ちゃん)である少年・小松洋(小学3年)の、昭和17年くらいから戦争が終わるまでを描いた自伝的作品。ぼんぼんだから、兄がクラシックレコードを集めていたり、割と裕福な育ちで、それだけに当時の生活の様子(作者は新聞など資料にあたって取材したらしい)がとても具体的に書かれていて、それがまるで優れたノンフィクションを読んでいるようでよかった。
同級生の女の子たちやたまたま出会った京都の少女、年上の女性たちを見る洋少年の恋〜思春期の目覚めの一つ手前みたいな要素もあり、ベースとしては少年の成長物語のところに、戦争がじわじわと迫ってくるのが、戦争児童文学としての一面も読ませるなと思った。
そして、父なきあとの小松家を何かと支えてくれ、洋少年の好き導き役となってくれる佐脇さんという存在がエンターテイメントとしての面白さも確保していた。
戦争はほんとにいやだなあと思った。
