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2025年7月5日

踊れ、愛より痛いほうへ
向坂くじら
読み終わった
詩のセンスが小説に綺麗に反映されてる。
繰り返しされる言葉の並びが連繫して意味をなすことで物語が進み、文学になってる。随所で使われる情景描写も独特で癖になった。
以下ネタバレ
始まりと終わりのシーンはバレエではパンシェというらしい。
そして、この話は主人公がなぜあの時あの場所で踊ったのか?という話をずっとしてくれる話。
解釈としては、わたしからアンノが大切にしてきたものへの弔いです。
配達員の仕事を辞めた時に、自分だけいい思いをするようになる人間にはなりたくない、と思った。それは幼い頃からの母からの過剰な愛情というエゴに対する拒否反応からだったんだと思う。結局、友達や恋人といった付き合いの中であーちゃんと出会って、違う愛の形質を知って、救われる結末に進むと思いきや、最後はいつもの理不尽さに葬られてしまう。アンノはたくさんの犠牲を産んでしまったことを抱えて、踊ることを選んだんじゃないだろうか。
個人的に1番好きなセリフは「逆だろ」でした。


