踊れ、愛より痛いほうへ

26件の記録
- n@n2025年7月5日読み終わった詩のセンスが小説に綺麗に反映されてる。 繰り返しされる言葉の並びが連繫して意味をなすことで物語が進み、文学になってる。随所で使われる情景描写も独特で癖になった。 以下ネタバレ 始まりと終わりのシーンはバレエではパンシェというらしい。 そして、この話は主人公がなぜあの時あの場所で踊ったのか?という話をずっとしてくれる話。 解釈としては、わたしからアンノが大切にしてきたものへの弔いです。 配達員の仕事を辞めた時に、自分だけいい思いをするようになる人間にはなりたくない、と思った。それは幼い頃からの母からの過剰な愛情というエゴに対する拒否反応からだったんだと思う。結局、友達や恋人といった付き合いの中であーちゃんと出会って、違う愛の形質を知って、救われる結末に進むと思いきや、最後はいつもの理不尽さに葬られてしまう。アンノはたくさんの犠牲を産んでしまったことを抱えて、踊ることを選んだんじゃないだろうか。 個人的に1番好きなセリフは「逆だろ」でした。
- 7235@_7_2_3_5_2025年7月3日読み終わった愛はいいものであるとか、家族だからわかりあえるとか、当たり前のようにいいものとされている事柄に対するアンノの純粋でありひねてもいる眼差しが、ひとびと(読者)が抱えているそんなわけないじゃんを言語化してくれているようにおもう。愛するということは愛するもの以外を愛さないこと、という考えかたにどきっとした。おとむらいの場面がとてもすき。
- yt@yt2025年7月2日読み終わった「ねえ、それじゃ美しくないわ」(p6) 自由に踊るということと。 「誰かが握っている手に力をこめると、握られたほうはかならず握りかえした」(p18) 自由に生きるということ。 家族でも離れてていいし、好きじゃない他人と一緒にいてもいい。 「けれどすべての動きはつぎの動きを呼んだ」(p80) 踊るように、連鎖する動きに身を任せて生きたい。 そして、わたしもメッセージを焼きイモしたい。
- 結@yi_books2025年7月2日読み終わったどうしようもできない怒りと後悔、自分を潜在的に責め続け、だからこそ愛を受け取ることに抵抗があるのかなと思いを馳せた。それが懺悔であるかのように。 "無音の唇を薄く開いたまま、アンノは手のひらを広げ、母の手のすぐ下を何度も叩いた。何度目かに手が生地にふれた瞬間、吸いつくようにつかまえられた。"
- ブックスエコーロケーション@books-echolocation2025年6月28日新刊入荷@ ブックスエコーロケーションブックスエコーロケーション、6月28日(土)オープンしております。19時まで。ご来店お待ちしております。 向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』河出書房新社 来たる7月16日に決まる第173回芥川賞候補作が、サイン本で入荷しました。 幼い頃から納得できないことがあると「割れる」アンノは、かつて母のおなかにいたはずの「妹」が自分のせいでいなくなったことを知り、衝撃を受ける。高校生になったアンノは、恋愛を疑い、家庭を拒否して、家の庭にテントを建てて暮らし始めるが――。 #向坂くじら #踊れ愛より痛いほうへ #河出書房新社 #サイン本 #信州 #長野県松本市 #松本市 #本屋 #書店 #古本屋 #ブックスエコーロケーション
- はぐらうり@hagurauri-books2025年6月24日読み終わった芥川賞候補。文藝で読了。 純文学だなあと思う。向坂さんの小説は、カテゴライズするのが難しい。いや、ふさわしいものがあるんだろうけれど、まだ言語化できない。幼い頃のちょっとした感覚を、ずっと覚えているような小説家。 自分の理解を超える出来事があると、「割れる」。人とは違う、そういった体験。自分の似たような経験だと、自分をかわいそうだと思うと左の薬指がジンジンする、というものがあった。30歳くらいでなくなった。 思春期とはまた違う、若さならではの体験が読めるのはこの著者だけのような気がする。面白かった。