
りおかんぽす
@riocampos
2025年7月5日

去年、本能寺で
円城塔
読んでる
ネタバレありです。
第3章「三人道三」
斎藤道三といえば小坊主から油売りを経て美濃の守護土岐氏を倒して一国を支配した下剋上の代表のような人だと思うのですが…実は油売りだったのはその父だった、という古文書があるのだとか。その文書が昭和に出てきたことを、なぜか戦国時代の明智光秀が斎藤道三に語るという場面から物語が始まる。
その文書が書かれるのも、そして見つかるのも、未来の話。しかし道三自身が持ってる小坊主時代や油売り時代の記憶が、光秀に聞いた途端に怪しくなってくる…なんだこりゃ。時間検閲問題か。
でタイトルは「一人の道三が二人に分割されるのなら、三人に分割されるのもありうる」。物語の最後辺りでは分割されてたのかな。
第4章「存在しなかった旧人類の記録」
タイトル裏にあるのは森鴎外訳のエドガー・アラン・ポー「病院横町の殺人犯」(青空文庫に掲載あり)。一般的には「モルグ街の殺人」という表題で知られる。読んだことは全くない(のだがネタバレ例として有名な話らしい)。
物語の舞台は旧石器時代。ゾウ送りの祭りの夜に死者が出た。部族の有力者はゾウ送りをおざなりにしたとして、死者の出た部族に責任を取らせようとした。それに対し、その部族にいる《探偵》と《助手》が犯人を探す。もちろん真犯人を探すことよりも、有力者を納得させれば済む。
人殺しに使われた石斧を発見した探偵は石工に見せそれが「人(ホモ・サピエンス)の手では作れない」ことを指摘される。つまり、殺人犯は、同時期に生きている、ホモサピより力強い猿人の仕業か?と思いきや…。
いちおう推理小説風なのでオチは隠す。
