去年、本能寺で

46件の記録
- gato@wonderword2025年8月23日読み終わったう〜ん、面白かった。こうなると全てを『コード・ブッダ』軸で考えてしまうというか、『コード・ブッダ』ではマーラのポジションである「教授」(軍事AI)サイドのお話として理解した。信長幻想の例として真っ先に宇月原晴明の『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュノス』への目配せがあって小躍り。 『コード・ブッダ』軸とはまた別に、まさか円城さんがこんな澁澤龍彦21世紀版みたいな、アナクロニズムを弄り倒しまくった幻想歴史小説の書き手になるとは思ってなかったという喜びもある。一番好きなのは「タムラマロ・ザ・ブラック」。
- かずひろ@kazuhiro11022025年8月14日読み終わった今度も読むだけになってしまった。想像を働かせて読まないとわからないですね。何が起こっていたのか分からず終わってしまった。コードブッダといつか読み返してみたい。
- りおかんぽす@riocampos2025年8月12日読み終わった最終章「去年、本能寺で」 メタメタですやんw 短編集でないことは分かった。他の話もいちおうここに収束している。 信長という存在は大変だよなあと同情してしまう。どうしても本能寺は越えられず、光秀が寄り添い、しかし後を継ぐサルは碌でもないと。 物語に「信長」という名を出すだけで、いろいろな設定が自動的にセットされる。強力。なので物語に使いやすい。 前作「コード・ブッダ」に引き続いて面白い物語でした。前作は大与太話でしたが、今作は各章それぞれに描かれている世界だけでなく、その後ろにも豊かな物語が流れている。そこから導かれる史実の世界も楽しい。 ありがとうございました。
- りおかんぽす@riocampos2025年8月11日読んでる第10章「偶像」 親鸞の長男で親鸞に義絶された東国のアイドル善鸞(史実にだいたい合ってる)、そして法然と親鸞の浄土教について。 ここ最近に京都国立博物館での法然展も親鸞展も鑑賞を経てきているので、法然も親鸞も、善鸞も(本願寺第3代)覚如も事前に押さえた上で読めている。この時期に読めて感謝。近代の一時期に発生した「親鸞非存在説」も取り上げたり。 法然そして親鸞は「仏教」の中でも特異的で、私の理解も円城塔(敬称略)とほぼ同じ。かなりぶっ飛んでいる。なにせ日本仏教では真っ先に批判している女犯を平然と乗り越えた(違反した、ともいえる)親鸞。法然の浄土教を更に推し進めて「絶対他力」つまりは自ら救われようとする事さえ否定した親鸞。当時ではカルトだったと思うよ。 他方、日本仏教も仏陀の編み出した教えにどの程度合っているのやら。いずれにせよ、善鸞はそのぶっ飛びに付いていけなかった、のかもしれないよね。でも善鸞は彼なりに父に沿うよう頑張ったのだと思う。 本願寺の基礎を成した覚如は、善鸞の子の如信を本願寺2代として自身を3代としたのは、やはり善鸞と如信のものが(布教と教勢拡大のための)理論体系として優れていたからだろうし。本願寺には(同じ真宗に)佛光寺という強力なライバルが居たわけだし。 話が大きくズレた。 この話は再読したい。 気に入ったフレーズ: 善鸞が説く。「父の教えに従う者は皆道を外れる。父の考えは父のものであるのだから。ただ、父の論に反論しようとする者だけが、父の教えを継ぐことができる。…」(p.274 )
- りおかんぽす@riocampos2025年8月10日第9章「八幡のくじ」 くじ引き将軍として有名な義円こと足利義教と、その義教の首をとった赤松満祐・則繁兄弟が交わる「嘉吉の変」が舞台。そこに聖徳太子未来記がほんの少しスパイスとして加わる。書物に書かれるほど未来が確定しているならば、くじ引きの結果も確定済みではないか、と。そしてオチは…他の章に比べて無理矢理なような。それにしても赤松氏は乱暴ですなあw
- りおかんぽす@riocampos2025年8月8日読んでる第8章「天使とゼス王」 章題は「安寿と厨子王」からなのだろうな、と読み始める。がやはり今回も予想が(楽しく)裏切られる。舞台はインドのゴアで、主人公は安寿ではなく、宣教師ザビエルのお付きをしていたヤジロウ。ザビエルからはアンジェロつまり天使と呼ばれる。そしてゼス王はゼス・キリシトつまりイエス・キリスト。ヤジロウのキリスト教信仰の話が進んでいくのか、と思いきや再度裏切られる。なぜかここで(当初予想の)安寿と山椒太夫がでてくる。ヤジロウが生きたのは戦国時代のインド、山椒太夫の舞台は平安時代の丹後。いろいろこんがらがる。アンジェロと安寿とが少し語り合い、そして某国の国守の子である厨子王と、神の子であるゼス王とが(どちらも登場しないものの)こんがらがる。 説経節のさんせう太夫も、フランシスコ・ザビエルも、どちらにも興味を持っていたので、物語よりも深めに楽しむことが出来たと思う。 そしてほんの少し「信長」「本能寺」の名も出てきた。信長と本能寺がやはり全ての軸なんだな。
- りおかんぽす@riocampos2025年8月6日読んでるまた借りてきた。けど読まぬまま1週間放置。貸出期間が残り1週間となり読み進める。 第7章「宣長の仮想都市」 端原なる聞いたことのない地名にまず驚く。読み進めても、日本の話なのに日本の地名も人名も神の名も出てこない。何だこれと思い出したころにどうやら本居宣長が描いた仮想の日本であることが判明する。確かに章題の通りなのだけど、若き(しかもまだ「本居宣長」ではない)宣長が仮想都市を夢想していたなんて全く知らないので疑問と驚きの連続だった。 ネットで見れる参考文献としてはWikipedia「端原氏系図及城下絵図」及び本居宣長記念館の解説項目「地図と系図」 https://www.norinagakinenkan.com/pages/198/#block1517 そして国立国会図書館デジコレの「松阪市史 第7巻 (史料篇 文学)」の「端原氏物語系図」 https://dl.ndl.go.jp/pid/9570269/1/92 。
- ひいらぎ櫂@shaki31222025年7月26日読み終わった図書館書店でたまたま見かけて、 山口晃の表紙と、「時空大乱AI並起(ジクウオオイニミダレエーアイナラビオコル)」の文字の組み合わせに?が止まらなくて借りてみた。 ただのパラレル歴史小説ではない。 えげつないルビにくすりとしながら、サクサク読み進められる。 「三人道三」と「去年、本能寺で」が好き。 子どもが珍しく昼寝した隙に読了。 どちらかがどちらかを叩き起こす。
- りおかんぽす@riocampos2025年7月10日読んでる第5章「実朝の首」 未来記に従わざるを得ない人々。道三の話でも未来からの文書に左右された(情報のみだが)けど、こちらは未来に自分が書いた書状に左右されてしまう人と、そこから更に影響受けてしまう人たちの物語。 第6章「冥王の宴」 表題裏にあるのはカント「純粋理性批判」。読んでません。 そして物語は冥王代、つまり地球表面がまだマグマオーシャンだった頃、太陽系が形作られつつある頃。 なのに何故か信長だの本能寺だのが出てくる。何故なら、世界がラプラス的であれば、初期運動で全て未来が確定してるから将来信長になる分子の運動も確定してる…いやあ古典論だねえ(と誤魔化しておく)。 この辺りで本は半ば。戦国時代に絡めて話作りしてる物語が多めだなとの印象。おそらく表題の「去年、本能寺で」が現れる最終章では、それまでの章(というか短編)がいい感じに土台を作るのだろう、と予想しておく。 しかし図書館の貸し出し期間が終わったので、図書館へ一旦返却。
- りおかんぽす@riocampos2025年7月8日読んでる第4章「存在しなかった旧人類の記録」 感想を途中まで書いてて、投稿し忘れて消えてしまった…。わりとしっかり書いてたから残念。 旧石器時代ミステリ。なのでオチは書けない。けど表題裏にはポーの「モルグ街の殺人」の森鴎外による別訳のことが書いてある(青空文庫で読める)。
- りおかんぽす@riocampos2025年7月5日読んでるネタバレありです。 第3章「三人道三」 斎藤道三といえば小坊主から油売りを経て美濃の守護土岐氏を倒して一国を支配した下剋上の代表のような人だと思うのですが…実は油売りだったのはその父だった、という古文書があるのだとか。その文書が昭和に出てきたことを、なぜか戦国時代の明智光秀が斎藤道三に語るという場面から物語が始まる。 その文書が書かれるのも、そして見つかるのも、未来の話。しかし道三自身が持ってる小坊主時代や油売り時代の記憶が、光秀に聞いた途端に怪しくなってくる…なんだこりゃ。時間検閲問題か。 でタイトルは「一人の道三が二人に分割されるのなら、三人に分割されるのもありうる」。物語の最後辺りでは分割されてたのかな。 第4章「存在しなかった旧人類の記録」 タイトル裏にあるのは森鴎外訳のエドガー・アラン・ポー「病院横町の殺人犯」(青空文庫に掲載あり)。一般的には「モルグ街の殺人」という表題で知られる。読んだことは全くない(のだがネタバレ例として有名な話らしい)。 物語の舞台は旧石器時代。ゾウ送りの祭りの夜に死者が出た。部族の有力者はゾウ送りをおざなりにしたとして、死者の出た部族に責任を取らせようとした。それに対し、その部族にいる《探偵》と《助手》が犯人を探す。もちろん真犯人を探すことよりも、有力者を納得させれば済む。 人殺しに使われた石斧を発見した探偵は石工に見せそれが「人(ホモ・サピエンス)の手では作れない」ことを指摘される。つまり、殺人犯は、同時期に生きている、ホモサピより力強い猿人の仕業か?と思いきや…。 いちおう推理小説風なのでオチは隠す。
- りおかんぽす@riocampos2025年7月3日読んでる第2章「タムラマロ・ザ・ブラック」 坂上田村麻呂と阿弖流為をガリア戦記におけるカエサルとウェルキンゲトリクスになぞらえた話…かと思いきやわりと違う。 ネタバレになるのですが、タイトル裏頁にあるシェークスピアのオセロの一文 "And I, God bless the mark, his Moorship's ancient." から気付くべきで、黒人の坂上田村麻呂はムーア人(黒人として扱われることもある)の将軍であるオセロになぞらえている。オセロの部下のキャシオー、イアーゴーも出てくる。なおシェークスピアはほぼ知らないので、一読後に登場人物を調べました。 で。私は枚方市に住んでおります。文中に 「現在、枚方市にはアテルイの首塚を称する石碑が存在するが、これは史的な根拠を欠いた有り合わせであり、そのことは枚方市自体も認める。根拠としては、枚方のとある住人の夢枕に、アテルイが立ったことを置く。」 とあって、全くその通りなので驚きと共に大笑いしてしまいました。ところでこの文に続いて 「侵略側の傲慢さをよくあらわしている。」 とあるのに、少しうなりました。アテルイが夢枕に立った人にはそんな意識は無かったでしょうが、そりゃ傲慢ですよね勝手にアテルイの首を刎ねた場所を決めたりしたんだから。 なお読後感としては、あまりスッキリしない。SF成分が少ないからか。でも、おそらく私がオセロを全く知らないからかも知れません。近々概要だけでも追ってみたいと思います。
- ふーる@fool62025年6月29日読み終わった歴史短編集っぽいけど、時空は過去も未来も一つで、よくわからない短編集。いや、読んでいるのですが理解できない。次元がだいぶ違う、淡々とがダメなのか?善鸞アイドルだけがまだなんとなく…
- りおかんぽす@riocampos2025年6月28日読んでる第1章「幽斎闕疑抄」 タイトル通り、古今伝授でお馴染みの細川幽斎が主人公。物語の舞台は史実における「田辺城の戦い」の場面そのまま。田辺城(現在の舞鶴市にある。調べると、江戸以前の地名は田辺で、明治になり山城や紀伊の田辺と区別するため地名を城の姿に因んで「舞鶴」としたとか)に隠居している幽斎67歳、しかし何故かAI、しかも軍事AIにして文事AI。(そういえば文事ってあまり使わない単語だね。なお反対語は武事。) 古今伝授やAIについてはいろいろと本文中に軽く解説あるものの、勾配消失問題(多層のニューラルネットワークで新規情報を学習しなくなる弊害)だのシグモイド関数(0周辺で0から1に変化する関数)だのReLU(Rectified Linear Unit: 正規化線形関数。正の範囲で入力をそのまま出力する関数。ダイオードの理論的ふるまいに相当。勾配消失問題の解決に用いられる)だの、断りなく用語を使ってくるところなどに苦笑。もしかするとこのAI歴史短編集?の導入として「はいこの本は技術用語をバンバン使うからねー」という予告だったりするのだろうかと思ったり。まあだいたい分かるので笑うだけなのだがw それはともかく。 「軍事AIも…罪の意識にさいなまれ、仏や耶蘇に救いを求める」 という文には前作「コード・ブッダ」を思い起こさせてくれて微笑んでしまった。 それからこの本ではフリガナの使い方が楽しい。例えば「古今和歌集」に「コレクション・オブ・ジャパニーズ・ポエムズ・オブ・エンシェント・アンド・モダン・タイムス」なるフリガナが振ってある。…確かに英語にすればその通りなのだろう(Wikipedia英語版「古今和歌集」にも"Collection of Japanese Poems of Ancient and Modern Times"とある)。ところで田辺にタナベ、丹波にタンバ、あと人名にもフリガナ振ってるのはどういったニュアンスなのだろうか。日本では無いという雰囲気作りなのかな。 余談:「幽斎闕疑抄」の闕疑について辞書で調べると 「けつ‐ぎ【闕疑】 〘名〙 (「論語−為政」の「多聞闕疑、慎言其余則寡尤」による語) 疑わしいものとして、決定を保留しておくこと。また、そのような事柄。細川幽斎(藤孝)著文禄五年版本「伊勢物語闕疑抄」のように書名に用いることがある。」(精選版日本国語大辞典) とある。幽斎が書いた本の題に因んでいるというところも要点なのか…わかんねーよそんなのwwと思ったのでした。 今後こんなに長文で書くかどうか分からないけど、まあ1つ目なので勢いで。
- りおかんぽす@riocampos2025年6月27日借りてきた予約本を借りてきた。本屋で立ち読みしたときは前著「コード・ブッダ」と同じく、素晴らしき与太話だとの印象。腰を据えて読んだら印象は変わるか?
- 鳥澤光@hikari4132025年6月27日読み終わった読む本読んだ本2025あの人に贈りたい本『古今和歌集』のルビが{コレクション・オブ・ジャパニーズ・ポエムス・オブ・エンシェント・アンド・モダン・タイムス}になっている、この1行だけで何分でも笑ってしまう。 「三人道三」がすごすぎて一時停止してたけど再開。したら《釣り糸というのは繊細なものであるべきだが、魚の方でもこの時期はまだ大らかであり、粛々とそれが使命であるかのように焚き火に自らの身を投げ出していたかもしれない/ひょっとすると、数万年を川のほとりで、糸を垂らしたまますごした者もいたりした。》(「存在しなかった旧人類の記録」P91)だなんて…… 過去があるなら未来もある。そのふたつが異質だなんてどうしてわかる? 時間が一方向にしか流れないなんて嘘に決まってる?
- ブックスエコーロケーション@books-echolocation2025年6月1日新刊入荷@ ブックスエコーロケーションブックスエコーロケーション、6月1日(日)オープンしております。19時まで。ご来店お待ちしております。 円城塔『去年、本能寺で』新潮社 室町幕府(アシカガ・ショーグネイト)崩壊後、AIは長足の進歩を遂げる。軍事AIが合戦を司り、文事AIが詩歌、楽曲の生成に勤しむ世界で、つわものたちは何を思惟するのか? 歴史小説のはずが、ミステリあり、スペースロマンあり、アイドル活劇あり、異世界転生まであり! 何でもあり! 円城史観(ワールド)全開の戦乱ラプソディー! #円城塔 #去年本能寺で #新潮社 #信州 #長野県松本市 #松本市 #本屋 #書店 #古本屋 #ブックスエコーロケーション
- chroju@chroju2025年5月23日気になる……??? > 黒人初の征夷大将軍、田村麻呂は、オセローに変じ、カエサルに変じながら、蝦夷(ガリア)の地で、ウェルキンゲトリクス略してアテルイとの決戦に臨むーールビが、歴史を、国家のルーツを、書き換えてゆく。 https://x.com/Shincho_Bungei/status/1925402483578609765
- りおかんぽす@riocampos2025年3月28日読みたい«歴史とSFが交差する珠玉の全11篇。…歴史小説のはずが、ミステリあり、スペースロマンあり、アイドル活劇あり、異世界転生まであり! 何でもあり! 円城ワールド全開の戦乱ラプソディー!» https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784103311638