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@__um__g
2025年7月5日

幸福な食卓
瀬尾まいこ
読み終わった
「そんなときは書店にどうぞ」に載っていた短編の元のお話ということで気になって読んだ一冊。
佐和子の家族や周りの人はちょっとヘンだけど、それぞれ切なさや歪みを抱えているところに凄く人間臭さを感じる。本作ではある大きな出来事で家族の形がどんどん変わっていくのだけれど、「家族」という存在は変わらないし自分で思うより周りに支えられて大切にされて生きてるんだ、と伝えてくれるようなお話だった。
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佐和子の学級委員の話では佐和子と大浦君がお互いを想い、大浦君がどうにかしてあげたいって気持ちが伝わってきて凄く初々しい気持ちになった。二人がずっと幸せに過ごしてほしいな、と思った矢先の別れにどれほど胸が苦しくなったことか。
佐和子が周りの人の思いやりに触れて少しずつ生活を送れるようになる姿や家族との関わりに少し救われるような気持ちになったけれど、続きの話を読み直すと単純に良かったねとは言えない。それでもきっと佐和子や、寛太郎、大浦君の家族は、きっと大丈夫。悲しみは置いても大浦君への想いを抱きながら周りの思いやりに支えられながら、前を向いて歩いていける。
そう思えることが少しだけ救いなのだと思う。