
柿内正午
@kakisiesta
2025年7月7日

社交する人間
山崎正和
読んでる
山崎は経済には二種類あり、政治もまたそれらに対応するように二種類あるのだという。
一方に生産と分配の経済がある。これには、安定した生産のために同質性が求められ、共通の目的と帰属意識を強めるような静的で組織的な統治が対応する。このような固定的で階層的な秩序原理は、分配の範囲を明確に定めるような排他性を帯びる。
もう一方に贈与と交換の経済があり、こちらは異質なものたちの対立を内包している。調停不可能なばらばらの他者同士が、それでも共存してやっていくための儀礼的作法の洗練に基づいて、絶えず信用と権威の所在が移ろうような商業と社交が繰り返される。こちらは動的で非組織的な統治が対応している。
政治的な場において、前者がナショナリズム、後者がグローバリズムとして提示されるものと相似的である。だいたいの対立は、政治観、経済観の対立というよりも、むしろ二種類のそれらを混同して語ることによって泥沼化しがちだという感覚がある。お互いに政治や経済の定義を争っているつもりでいながら、実は別種のそれらがすれ違い続けているのだ。



