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柿内正午
柿内正午
柿内正午
@kakisiesta
楽しい読み書き
  • 2025年11月25日
    近代小説の表現機構
    “実はこれ(引用者註:白樺派の一人称および言文一致体の達成)は、大正期に「個人主義」が、まがりなりにも日本的な一つの結実の形をもたらしていくプロセスとも並行していた。「大正期教養主義」に象徴されるように、古今東西の古典を渉猟し、孤独な読書と思索、日記による内省を通して人格を開治していく、というイメージが、白樺派、激石の弟子たちを中心に次第に定着していくことになる。 (…) 彼らが信奉した「人格」という概念は、戦後民主主義の影響を受けた今日的な「個性」「自我」の概念とはかなりその性格を異にしている。当時この言葉はある種の生命思想ともいうべき信仰に裏打ちされており、「自己」内部の生命を凝視することが同時に自然、宇宙の普遍的真理に到達する唯一の手段である、という理念に支えられていた。大杉栄が「生の創造」(「近代思想」大3・1)において、〈社会の進化〉の基礎を〈自我の、個人的発意の、自由と創造〉に求めていた事実に象徴されるように、社会主義思想、自由主義思想の別を問わず、「個」に徹することによって普遍に突き抜けていこうとする発想は、まさしく時代に共通して流れる価値観でもあったわけである。” p.162-163
  • 2025年11月19日
    黒人理性批判
    黒人理性批判
    “先に述べたように、この誤った知(引用者註:西洋による一方的なアフリカ表象)は、何よりもまず無理解であり、虚構なのだ。しかし、このように作り話をするのは、他者を排除し、自分自身のうちに都合よく閉じこもるためである。作り話は、いわば極度の軽蔑を、より巧妙に覆い隠すためにすぎず、この〈他者〉がわれわれの「友人」であることを願う要求と軽蔑は常に対になっている。この「友愛」が現実であろうと想像であろうと、相互的であろうとなかろうと。人種の暴力のこのフランス版は常に一つの顔に合図を送っているが、その顔はかろうじて見つめられたかと思うと、すぐに不可視にされなければならないのだ。常に肝要なことは一つの声を呼び出すことであるが、それはかろうじて聞かれたかと思うと妨害され、沈黙に還元され、単数一人称で自己表現することは阻止される。(…)” p.112-113
  • 2025年11月18日
    近代小説の表現機構
    “今日の人文科学の常識においては、特殊な独我論的立場に立たぬかぎり、「自己」を先験的な実体としてとらえる発想は稀であろう。「性格」にせよ、「人格」にせよ、個人の独自性もまた、もとからある属性としてではなく、常に生きた現実、生きた他者との関係から相対的に立ち上がってくる概念であると考える。だが、少なくともロマン主義の浸透以降、近代の文学はあえて「自我」や「個性」を至上のものとし、封建的な遺制への反逆を通し、個人の主体性を確立するドラマをみずからの命題としてきた。それはいわば無意識の規制として、「個」の独自性を描くことにこそ文学の使命がある、という強迫観念にとらわれ続けてきた歴史でもあったわけである。” p.117
  • 2025年11月17日
    近代小説の表現機構
    “場面に内在的に「語ること」と外在的な視点から「描くこと」の折衷" p.75
  • 2025年11月17日
    近代小説の表現機構
    “ここで文学を構成する要素として、「言葉」「人間」「状況」という三つの因子を挙げておきたい。 いうまでもなく、「言葉」「人間」「状況」に関して、近代の人文学はそれぞれ独自の学問領域を切り開いてきた。たとえば「言葉」のメカニズムに関しては言語学的なアプローチがあり、「人間」に関しては、哲学や倫理学を通して実存的な問題を追究していくことが可能だろう。「状況」に関しては、歴史学、社会学をはじめとする、さまざまな社会科学の方法的蓄積がある。こうした中であえて文学研究の意義を問うのであるとするなら、実はこれらのいずれでもあっていずれでもないということ、すなわちその要請は、「言葉」「人間」「状況」相互の「あいだ」を一個の関係概念として読み解いていく方法論にこそかかっているのではあるまいか。 すべての出発点にまず「言葉」があり、言葉で構築された虚構世界への関心を抜きに文学は成り立たない。その上で、虚構世界の生成と享受に深くかかわる「人間」と「状況」の、その可変的な相互関係を問う発想にこそ、文学研究本来の面目があるように思われるのである。そしておそらくその際の要点は、相互関係のベクトルが他に双方向を話す矢印でなければならないという原則にあるといってよい。(…) いつの時代にあってももっとも困難なのは、流行に惑わされず、相互変革的な関係から普遍的なるものをめざしていく中庸の精神なのであろう。少なくともこの半世紀の文学研究をとりまく状況は、矢印が一方向に偏ることをあえて省みず、みずからの方法的な特権を信じ続けてきた歴史であったように思われる。研究の個別の成果が、かえって作用と反作用の働く“場”を見えにくくしてきたのだとしたら、それははなはだ不幸な事態であったにちがいない。「言葉」を通して「人間」と「状況」との可変的な相互関係を問い返していくということ——こうした基本に立ち返ることが、実はいつの時代にあってももっとも困難な道なのである。” p.17-20
  • 2025年11月16日
    アーレントと黒人問題
    アーレントと黒人問題
  • 2025年11月15日
  • 2025年11月15日
  • 2025年11月15日
  • 2025年11月15日
    奔放な生、うつくしい実験
    奔放な生、うつくしい実験
  • 2025年11月15日
    黒人理性批判
    黒人理性批判
  • 2025年11月15日
    ネクロポリティクス
    ネクロポリティクス
  • 2025年10月25日
    随風(02)
    随風(02)
    Readsへの登録がどうしても不規則に、一気にてきとうにわーっになってしまうが、それはそれで。これには長話を書いてる。読んだら感想が欲しいです。
  • 2025年10月24日
    親密性
    親密性
    速い。
  • 2025年10月24日
    WATCHMEN(ウォッチメン)
    WATCHMEN(ウォッチメン)
    ドラマはこれの後日談のようで、三話くらいまで見てとうとうついていけなくなったので読んだ。
  • 2025年10月24日
    〈公正(フェアネス)〉を乗りこなす
    『随風』で散々おしゃべりについて話してるのにまだ読んでなかった。読んでよかった。
  • 2025年10月24日
    こどもの頃のこわい話 きみのわるい話 (竹書房怪談文庫 HO 740)
    傑作。いつ読み終わったかは覚えてない。
  • 2025年10月22日
    地下鉄道
    地下鉄道
    書かれたこと以上に、書かないでわからせるところの技量がすごい。
  • 2025年10月10日
    ラヴクラフト・カントリー
    ラヴクラフト・カントリー
    ドラマのほうがよかったな。
  • 2025年10月8日
    ラヴクラフト・カントリー
    ラヴクラフト・カントリー
    娯楽小説って読みやすいからすごいな。行き帰りで百ページ以上進む読書は久々な気がする。
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