
堺屋皆人
@minahiton
2025年7月7日

読み終わった
2025年
ミステリ
続編可能なの?と思って手に取った。
話題になった前作より好き。読んでよかった。
女性編集者と新人作家の〈僕〉が、二人組のベテラン作家の片方の急死により連載中に絶筆となってしまった作品の真相と周辺に浮かぶ謎を追うミステリ。
結末を書いた原稿やメモは残されていないか、誰かに続きのアイデアを話していないかなど、周辺を調べていくうち、二人の不仲説など色々な事情が浮上していく。
残された片方の作家が続きを書こうとしないのは何故なのか。
このまま作品は未完で終わってしまうのか……という引きが上手く、ページを捲らせる手を早める。
真相が隠された作中作の謎が今回の仕掛け。
前作のような仕掛けを期待する人には物足りないかも知れないが、前作も仕掛けは帯バレしていたので、今回もそこは個人的に重要な要素ではなかった。
私にとって大切なのは前作同様仕掛けた理由の方で、〈たった一人のために存在する物語〉という、シリーズに共通する大切な部分はちゃんと続編にも受け継がれていた。
真相を知る者以外の読者の目には映らない優しい物語。
文章が読みやすいのに美しく、読後感もよい。
前作を上手くボカシているので、なんらかの事情で2を先に読んでしまっても安心。