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@77
2025年7月8日

ホテル・ピーベリー<新装版>
近藤史恵
読んだ
ㅤ主人公の一人称で物語は進んでいくが、その内面はずっと気持ち悪かった。滲み出る侮りと傲慢と自己憐憫。積極的でない自覚と内省はあるのに、いつまでも自分本位の被害者面。
しかし、じっとりと芯まで人間くささが染みついたこの青年だからこそ、踏みとどまらず謎に迫ることが出来たのだとは思う。その『謎』の部分が、最後までページを捲らせ続けた。
『そして彼女は自分の手で恋の息の根を止めた』という文章が、とても印象的だった。


