
あこ
@jt-aw05246-888
2025年5月1日

あなたはここにいなくとも
町田そのこ
読み終わった
借りてきた
食器のオーケストラ(ばばあのマーチ)が特に印象深かった。
必要だと思い込んでいるだけで、もう今は必要じゃない、場所や物を考える機会を与えてくれる📕だった。


あこ
@jt-aw05246-888
✍️水の様にさらりと私に馴染む 128
「自分の足でしっかり立って生きていくためには、持ちきれない荷物は捨てないかん。重く
て身動き取れなくなるくらいなら、軽くするしかない。そういう生き方しかできんひともおる。131
「捨てても捨てられなかったもの、か。よく考えればあたし、大事に残したい彼との思い出の景色なんて、ない。ちゃんとあったはずなんやけど、加みとか執着に塗れて、どっかに消えうせとる。もう、おもいだせん
137
ナイフと栗を手にして皮刻きを再開し、小さく息を吐く。こんなものと引き換えにして何かを得ても、束の間の幸せにしかならない。手間の代わりに抱いてもらったって、喜べるはずもない。彼と泊まりでどこかに行ったのはさて、いつだったか。彼の出張について行って、アルでぼんやりと帰りを待っていたあれだっただろうか。取引先と会食が入った、と彼は日付が変わるまで戻ってこなくて、お酒の臭いをぶんぷんさせて帰ったかと思えばトイレの前で嘔吐した。わたしが掃除をしている間にダブルベッドで大の字になって寝て、明け方にようやく起きたら挿入するだけのセックスを五分ですませてまた寝た。あんな旅行なら、行かない方がマシだ。
別れるべきなんだろう、ほんとうは。彼が線引きを超えてきたのは、私との新しい一歩を踏み出すためではない。こんなことでもきっと数す女だろう、と私を軽んじた。彼の中での私の価値が目減りしただけだ。
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比較的大人しい性格の私にも、人目を気にせず求められちゃう自分に酔っていた時期があって、彼は人目も気にせず求めちゃう自分に酔ってる時期が多分いまも進行形なのだ。そういう互いの発情の時期がたまたま重なった。その偶然をひとは運命と呼んでしまうのだろう。少なくとも、私はそうだった。
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