
益田
@msd
2025年7月10日

民族とネイション
塩川伸明
読み終わった
ネイション・エスニシティといった用語の定義から始めそこから各国の事例を参照して最終的には現代の問題に繋げている本。
4章以降の国際化によるナショナリズムやエスニシティが抱える問題・利点(難題)はこの2025年にまで繋がっている(というよりここ最近で顕著になっている)ので読み応えがあった。
紛争や戦争の問題にかなり慎重な姿勢で書いており、それだけことの複雑怪奇さがあるのだなと実感した。
「同時に「強者」でも「弱者」でもある集団が「自分たちは弱者だ」という自己意識に基づいて集団行動をとるとき、それは往々にして「過剰防衛」ー他者の眼からみれば「過剰な攻撃」ーになってしまう。このことは民族問題に限らず、より一般的に、「強者」と「弱者」、「加害者」と「犠牲者」の線引きの難しさという問題と重なり、アイデンティティ・ポリティクスの一般的な難間をなしている。」(p186)



