いるかれもん "「好き」を言語化する技術" 2025年7月10日

「好き」を言語化する技術
文章の書き方とか、言語化について書かれた本の感想とか書くのって緊張しますね。でも、こういう本の感想とかを魅力的に発信したいと思って手に取った。  著者は「好き」を言語化するために必要なのは語彙力ではなくて、細分化であると主張しており、その方法が書かれている。細分化とは、「好き」「ヤバい」といった感情について「なぜ?」「どこが?」などといった形で掘り下げていくこと。その方法が体系的に整理されており(たとえば、「好き」であればそれは共感なのか驚きなのか、共感であれば今までの体験や好きなものとの共通点は何か、驚きであれば何が新しかったのかなどなど…)、それがこの本全体の筋だと思う。意外と書かれていることは私自身が日頃意識しているようなものも多く「実は私は良い線いってたのでは!?」と自己肯定感が上がった。それをここまで整理して提示できるのは、著者が書くことに対して真摯に向き合ってきた結果なのかなと思う。一方、「良い線いってる」はずなのに自分でも納得のいく感想とかを書けないのは、「早く読書メーターに登録して、冊数とページ数を増やしたい!」という気持ちで焦ってしまい、確認含め疎かになっているからだ自覚した。なんだかんだ私も数字に踊らされる人間である。本を読むことと同じくらい、自分が書くことも楽しんでいけたらいいなとも思った。  あと、一つ印象に残ったのは、作品全体について感想を書かなくても良い、と書いてくれたこと。これはとても救われた。私は本のレビューを書くとき、どうしても全体の内容について書こうとして、結局途中で挫折して中途半端な(ダラダラ書いてあるけど自分が本当に強く感じた部分についてはサラッとしか書かれていないような)レビューになってしまっている気がしていたのだけれども、「別に書きたい部分を書けばいいのか」と安心させられた笑  そして今回内容ではない部分についてもこの本を読んで感心したことがあった。本のレイアウトについて。重要な部分が太字になっていたり、必要に応じて箇条書きで書かれていたりする。そのためパッと紙面を見ただけで要点がわかり、「ここは流し読みしてもいいかな」とか「ここはメモしよう」という判断がしやすかった。これは紙面の作り方の工夫もあるが、著者の本の構成や文章への工夫の賜物だと思う。また、奥付けには見たこともない数の人の名前が書かれている。普通奥付けといえば、著者、出版者、出版年月日とかくらいしか書かれていないがこの本に携わった人全員の名前が書かれているのではないかというくらいクレジットが細かく書かれている。(一冊の本を作るためにはこれだけの人の手がかかっているのかと改めて思わされる。)こういう情報量の多い奥付けは図書館員的には結構テンションが上がる笑。ぜひこの文化は他の出版社にも広がってほしいし、書誌データにも反映してほしい。
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