
ひよこ
@tsumu_books
2025年7月10日

カフネ
阿部暁子
聴き終わった
一気にラストまで聴いてしまった。
誰しも何かを抱えていて、それは周りには見えないものだったりする。自分から見えているものはほんの一部かもしれなくて、思わぬところで知らないうちに、自分の言葉や振る舞いが薄いガラスの刃のように、相手を傷つけ削っているかもしれない。
それを恐れて何もしないのも、身動きとれなくなるのも違う気がするけれど、いつも少しだけ心の片隅に留め置いて覚えておかなきゃいけない。
それこそ、主人公の彼女のように、時には自分の好きだという気持ち(それは性愛だけではなく)や慈しむ気持ちをちゃんと伝えて突っ走ることも、きっと必要。
そして、そのためには「自分を大切にする」ことも必要。自分を大切にできない人間は、誰かを大切にすることはできないのだ。
カフネ。なんで素敵な言葉なのだろう。私も眠る息子の頭を、飽きずに毎晩撫でてから眠る。私に似た、細くて柔らかくて、絡まってしまう髪に指を通して。すこししっとりしていて、温かい匂いのする柔らかな肌に頬を寄せて。子どもを持つまで、無条件に誰かの幸せを願うなんて、どこかフィクションみたいだなって思ってた。子どもじゃなくても、家族でも友達でも世界のどこかにいる誰かでも、そういう存在に出会って生きていけることは、本当に幸せだと思う。

